法律・裁判

2015年1月27日 (火)

上告&上告受理があぶない!

 先週の22日のことですが、大阪高裁が「素晴らしい判決」を出しました。兵庫県立龍野高等学校に通っていた女性(24)と、そのご両親が兵庫県に損害賠償を求めていた国賠訴訟の控訴審判決です。女性は2007年(平成19年)5月当時、高2でテニス部の主将でしたが、練習を開始した正午から3時間後に突然倒れ、心停止となって救急搬送されました。女性はこの事故による「低酸素脳症」が原因で「寝たきり」となり、現在も24時間介護が必要な状態にあります。一審の神戸地裁判決では、女性側が敗訴しましたが、大阪高裁はこれを変更し、将来の介護費用や慰謝料など約2億3千万円の支払いを命じたのです。

 大阪高裁の森宏司裁判長は、搬送先の医師の意見を汲み、女性が「熱中症」に罹患したと認定し、練習開始の約30分後に出張のため現場を離れた顧問の教諭に指導義務違反があったことを認めました。通常の練習は夕方でしたが、当日は日差しの強い時間帯に練習が設定されていたことを指摘のうえ、負担の重い練習内容を主将だった女性に指示しながら、水分補給のための休憩時間を設けなかった点を顧問教諭の指導義務違反と判断したものです。

 さて、一審判決はどうだったかと言うと、神戸地裁は「熱中症」とは認めず、問題の「練習内容」についても「過酷で厳しいものとは言い難い」と指摘したうえ、学校側の過失は認められない…などと判断していました。昨年1月の神戸地裁の判決内容には「え~、そりゃないやろぅ~」と憤っておりましたので、今回の大阪高裁判決には、本当に胸のすく思いがしました。私自身はこの裁判に何も関与していませんが、私の良く知る弁護士たちが一生懸命に取り組んできた事件だけに、感慨も一入(ひとしお)というところです。

 しかし、これで裁判が終わりと言うわけではありません。兵庫県側が上告あるいは上告受理の申立てをする可能性があるからです。もうこれ以上、原告の女性やご両親を苦しませて欲しくない…との思いでいっぱいです。

 上告期限は最短の場合で2月5日です。どうか兵庫県には上告や上告受理申し立てを断念して戴きたいと願うばかりです。皆さんにも、別紙のFAXを兵庫県教育委員会に送って戴ければ幸いです。どうぞよろしくご協力をお願い申し上げます。

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2013年10月 6日 (日)

「春一番」が歌えない

 昨年の春ころから、ラジオ関西のスタジオに「キャンディーズの『春一番』『夏がきた』をかける場合は事前相談を」という趣旨の「注意書き」が貼られるようになりました。その理由は、これらの歌を作詞・作曲した穂口雄右氏が、2012年3月末にJASRAC(日本音楽著作権協会)を退会し、「春一番」「夏が来た!」を自己管理にしたからです。

 穂口氏は、JASRACの著作権管理や手続が、音楽の自由を阻害していると考え、もっと手軽に楽曲を利用してもらう目的で著作権の自主管理を始めた…と言います。NHKなどは、すぐに穂口氏と個別契約を結んだようですが、文科省の天下り先とも囁かれるJSRACに反旗を翻した穂口氏に対する「風当たり」は強く、その「顔色」を見てか、穂口氏の個別契約は進んでいないもようです。

 そのような状況下、穂口氏はラジオ放送について、「特別無料許諾」に踏み切りました。AM、FM、短波の各ラジオ局のほか、インターネットラジオ局での放送使用についても、申し込めば許諾されるそうです。ただし、この許諾は、作詞と作曲の著作財産権の使用に限られ、キャンディーズの音源を使用する場合には、別途、その「著作隣接権」を保有する会社の許諾が必要になります。本当に、著作権は難しいですね…。

 ところで、カラオケ店では、「春一番」や「夏が来た!」が姿を消したままのようです。JASRACとの関係を気にしてのことでしょうか、穂口氏と個別に契約するカラオケ会社は、今のところ現れていないとのことです。

 来年の春、ラジオから「春一番」が流れてくる可能性は拡がりました。しかし、カラオケで「春一番」が歌えるのは何時のことになるのでしょうね。

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2013年7月12日 (金)

法廷での「個人情報」があぶない

 刑事事件では、手続の冒頭で、被告人の本籍・住所・氏名から生年月日に至るまで個々具体的に確認されます。これは「人定質問」と呼ばれ、人違いでないことをきちんと確認しておく必要があるからです。

 これに対し、民事事件では、廷吏(ていり:法廷の事務官)に呼出状や運転免許証を示すことで訴訟当事者であることの確認がなされます。証人についても、住所・氏名などを所定の用紙に記入し、裁判官が「ご住所・お名前などは、この用紙に書いて戴いたとおりですね?」と確認するだけにとどめ、詳細を読み上げたりはしません。

 ところが、先日の法廷では、びっくりすることがありました。簡易裁判所の法廷でクレジット会社と20代女性との間で和解手続が進められていたのですが、裁判官が最後に「〇○さん(女性の名前)、あなたの住所ですが、神戸市〇〇区〇〇通〇丁目〇番〇号〇〇マンション〇〇号室で間違いないですね?」などと確認を始めたのです。
 裁判官は、念のために和解調書の「送達場所」を確認したかっただけで、何も悪気があったわけではないでしょう。しかし、たくさんの傍聴人がいる法廷で、名前を告げられたうえ、住所を長々と最後まで読み上げられたのです。

 傍聴人は、その直前まで和解条項の内容、すなわち、債務が幾ら残っており、それをいつから、毎月幾らずつ、何回に分けて支払うか…などについて詳細に聞かされていますから、彼女にかかわる個人情報は、法廷で完全に「丸ハダカ」にされてしまったようなものです。

 裁判所とはそんなところ…と言ってしまえば、おしまいなのでしょうが、どうも自分自身の感覚とは合わない、何か他の方法は無かったのだろうか…などと感じるのは私だけでしょうか?

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2012年8月10日 (金)

借金を合法的に踏み倒す!

 借金で首が回らない…という表現があります。この語源については、定説がありません。唯一、落語の世界にヒントがありました。昔は「掛け売り」でモノを買っていましたから、節季ごとに「掛け取り」が集金に来るわけです。節季の支払をキチンと出来れば良いのですが、あちこちの店に借りが残っている人が「商店街」を通る際、不義理をしている店の方を見ることが出来ません。顔を真っすぐ前に向け、決して店の方を見ることができないのです。つまり、この状況が正に「首が回らない」というわけなのです(笑)。

 同じ「首が回らない」状況でも、債権者の「面子(メンツ)」で様相は随分と違います。銀行・消費者金融・クレジット会社…など「金融のプロ」だけが債権者の場合、自己破産にせよ民事再生にせよ、代理人弁護士としてはたいへん「気が楽」なのです。

 「金融のプロ」に対する借金が返せない…それは、債務者自身にとっての「失態」ではありますが、同時に「金融のプロ」から見ると「与信の失敗」なのです。「与信」は、債権回収の可能性を第一に勘案するのですが、その「与信」の判断を誤った結果、債権回収が不可能になっているわけですから、明らかに「金融事業」としての失策なのです。

 何が言いたいか…と言うと、「金融のプロ」に対する借金が返せない状況に陥るのは、必ずしも債務者だけが悪いわけではない…ということです。「金融のプロ」ですら「与信」に失敗したわけですから、所詮はシロウトの債務者が気に病む必要は全然ないのです。

 それとは反対に、親類・縁者、友人・知人等々、ありとあらゆる交友関係に「借金網」を拡げている債務者がいます。実は、これは「最悪」なのです。「金融のプロ」は「仕事」としてお金を貸しています。要は「商売」なのです。しかし、親類・縁者、友人・知人は、個人的なお付き合いを基に「好意」としてお金を都合してくれています。

 自己破産や民事再生は、そういった個人的な「誠意」を踏みにじる結果になるわけですから、親類・縁者、友人・知人には、十分な「ケア」が必要です。つまりは、債務者本人がしっかり行脚のうえ「頭を下げる」ことです。実は、これを十分に出来ない債務者も多く、「免責手続」を考える場面で、少なからずトラブルに発展することもあります。

 破産や民事再生の手続は、それまでの経済生活をリセットして、一からやり直すことが出来る「有用な制度」です。これらの制度の「恩恵」を受けられる債務者の立場を思うとき、他方で「置き去り」にされる債権者に対する「陳謝」と「感謝」の思いを決して忘れてはいけない…と私は思うのです。

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2012年6月14日 (木)

人気がない?「限定承認」

 遺産の資産価値や債務の総額などが不明確で、プラスの財産が残る可能性もあるため、相続放棄をためらうことがあります。そのような場合、「相続によって得た財産の限度で、相続債務を引き継ぐ」という「限定承認」の手続がふさわしい…と大学時代の授業では習いました。

 しかし、私自身が弁護士になって26年もの間に、「限定承認」の手続に関与したのは、たった1回だけです。そのときの家庭裁判所の反応も「え~? 本当にやるんですかぁ」という感じだったのを覚えています(笑)。

 まず、相続人が複数いる場合、その一部だけで限定承認の申述をすることはできません。限定承認の申述は共同相続人全員で行う必要があるからです。ただ、相続放棄をした人がいても、それは元から相続人でなかったと扱われますので、それ以外の共同相続人全員で申述手続を行えばよいことになります。

 限定承認の申述が受理されると、限定承認者自身が、「相続財産の清算手続」を進めていくことになります。相続人が複数いる場合は、相続人の中から1名の相続財産管理人が選任されますので、その管理人が責任をもって行うことになります。

 まずは「官報」への「公告」の掲載です。「官報」というのは国が発行する新聞のようなもので、ここに限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の「公告」を行います。限定承認者の場合は5日以内、相続財産管理人の場合は選任後10日以内…と、けっこう厳しいスケジュールです。

 判明している債権者に対しては、直接の通知が必要です。その後は、相続財産の換価(売却などにより金銭に換えること)を実施し、最終的には「プラス財産」の範囲内で債務を弁済(按分弁済)するなどして清算手続を終えます。

 こうしてみてくると、まるで「ミニ破産管財手続」のようなイメージですね。たいへん手間がかかりそうですし、到底、一般人の手には負えない感じがします。「限定承認」が不人気なのも、このあたりに理由がありそうです。

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2012年6月13日 (水)

「相続放棄」が悩ましい

 被相続人の遺産が債務超過(プラス財産よりマイナス財産の方が多い)の場合、「相続放棄」を行うのが最も安全で確実な方法です。しかし、ここに「悩ましい問題」があります。

 たとえば、被相続人(亡くなった方)に多大な負債があって、残された妻と子どもたちが相続放棄の申述手続を行ったとします。そうすると、さかのぼって第一順位の相続人がいなかったことになりますから、次順位の相続人へと相続関係が移って行きます。

 この場合、父母や祖父母、さらには兄弟姉妹(亡くなっている人がいる場合は甥姪)まで、全員が順次、相続放棄の申述手続を終えて、やっと「一件落着」となるのです。甥や姪に至っては、オジやオバの負債が降りかかってくるわけですから、たまったモノではないでしょう。

 相続放棄の申述手続にしても、そう簡単なものではありません。相続関係を証する戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などを調査・収集したうえで家庭裁判所に提出しなければなりませんから、その手間と費用だけでもたいへんなものです。さっさと相続放棄してしまった被相続人の妻や子どもたちに「文句の一つ」も言いたくなるのが「人情」というものでしょう。

 そういった理由から、相続放棄をためらう方もいらっしゃいます。「負の連鎖」を自分の代で食い止めるために、いったん相続したうえで、あらためて自己破産の手続を取るという方法もあり得ます。これは、相続を受ける側に「みるべき資産」がない場合に有効な手立てだと思われます。

 また、相続放棄をする場合、「一族まるごとワンパック」で手続をしてもらえるよう弁護士に依頼するのも一つの方法ではないでしょうか。それなら、「親戚に掛ける迷惑」を最小限に抑えることができますから…。

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2012年6月 1日 (金)

不倫と不貞

 かつて「不倫は文化」と言い放った「爽やか系俳優」がいますが、私には「不倫が文化である」とは到底思えません。「文化」とは「カルチャー」であり、人間の精神的な面での向上を示す意味もありますから、その点では「教養」という言葉とも相通ずるものがあります。「不倫は教養」というには、かなり無理があるでしょう。

 しかし、反面で「不倫が文化を産む」ことは確かだろうと思います。「世界最古の長編小説」として名高い「源氏物語」においても「道ならぬ恋(=不倫)」が、あちらこちらに散りばめられています。人間とは昔から本当に仕方がないものなのですね(笑)。NHK大河ドラマ「平清盛」でも、前半部分は鳥羽上皇(三上博史)と待賢門院璋子(壇れい)との愛憎劇を縦軸に、璋子の引き起こす恋愛(不倫)騒動を横軸にして、まるでシェイクスピアの悲劇を観ているような盛り上がり方でした。あらら~、主役の平清盛(松山ケンイチ)は霞の向こうへと…。

 さて、「不倫」という言葉は法律用語ではありません。民法770条1項では「不貞な行為」と規定されており、最高裁はこの「不貞行為」を「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義しています。「性的関係」とは、ズバリ「一線を超える」ことです。従って、デートしたとか、手をつないだとか、KISSしたとかいうだけでは「不貞行為」になりません。

  また、男性が風俗店などで代金を支払って遊ぶことも、原則として不貞行為に該当しません。「原則として」と言ったのは、風俗店では「一線を超えない」ことが「建前」になっているからです。当然ながら、「本番行為」などと呼ばれる、一線を超えて「性的関係」を結ぶことは不貞行為にあたります。

 たった一度だけの浮気なら…? いえいえ、これも立派な不貞です。過去の裁判例の中には、「不貞行為」を「反復継続された男女関係」と捉えているように読めるものもあり、ネット情報などでは「一回だけの不貞行為で離婚を認めた裁判例はない」などと書かれているものもあります。しかし「不貞行為」は「自由意思で配偶者以外と性的関係を結ぶこと」という定義で言い尽くされており、その「回数」は問題ではありません。たった一度でも「不貞は不貞」なのです。

 ただ、そのむかし、「一度だけなら許してあげる~♪」という歌もありました。「たった一度のあやまち」だけでは、必ずしも婚姻関係が破綻したとは認定されない場合もあるでしょう。裁判所は、民法第770条1項の事由(例えば不貞行為)がある場合でも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる(民法第770条2項)からです。

 裁判官も、ときには吉本新喜劇の辻本茂雄座長ばりに「許してやったらどうやぁ~?」と言うこともあるのですよ(笑)。

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2012年5月22日 (火)

離婚と親権者

 離婚する場合、夫婦間に未成年の子がいれば、その親権者を決めないといけません。協議離婚の場合でも、親権者を決めないと離婚届が受理されないのです。しかし、夫婦がお互いに親権者を譲らないという場面も多く、その場合は家庭裁判所の調停あるいは裁判という手続を踏まなければいけないことになります。

 妻は「子どもを取られる」ことをおそれ、夫は「妻に子どもを託せない」と考えて紛争に発展することが多いように感じます。ただ、お互いの考えはただの「主観」に過ぎず、客観的に第三者が判断すれば、答はおのずから明らか…という事案の方が実は多いのです。

 ずばり、私自身の経験に照らすと、未成年者の親権者は原則として母親がなるべきだと考えます。親権というのは、法律的には、未成年者を養育監護する面と、未成年者の法定代理人として法律行為をする面の2つがありますが、日常的に重要なのはむしろ前者でしょう。子どもの身の回りの世話をしたり、躾や教育をするという側面では、原則として母親の方が父親より能力は上だと私自身は思っています。もちろん例外的な夫婦もあるでしょうけれど。

 親権者の決定は、父母の思惑だけで決められるべきものではありません。子どもにとって、父母のいずれを親権者と定めた方が、「子どもの福祉」にかなうか、つまりは子どもが幸福か…という判断基準を忘れてはなりません。

 有名な「大岡裁き」の中に、ともに実母であると主張して子どもを取り合う2人の女の裁きの場面で、子どもを真ん中に置いて双方から子どもの両手を引かせたというお話があります。最初は双方ともに必死に引っ張っていましたが、子どもがあまりに痛がったため片方の女は見かねて手を放してしまいました。他方の女が「勝った!」と喜んだのもつかの間、大岡越前守は「母親としての真の愛情に基づくものである」として手を放した女の方に軍配を上げました。

 この「大岡裁き」のお話は実話ではなく、後世になって創作されたフィクションだと言われています。旧約聖書のソロモン王の裁きの話が伝わってアラビアンナイトにもなり、さらに中国にも伝播するなど、似たようなお話があちらこちらにあるそうです。それにしても、真に子どものことを考える者こそが本当の親である…という考え方は、随分と昔からあったことがわかりますね。

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2011年7月 6日 (水)

遺言書の検認

 公正証書遺言以外の遺言書については、家庭裁判所において「検認」を受ける必要があります。

 「検認」の目的は、遺言の存在や内容を相続人に知らせるためだけでなく、遺言書の状態や訂正等の有無、日付や署名・押印など、「検認」を行った時点での遺言書の現状を記録して、その後の遺言書の偽造や変造を防止する点にあります。

 遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、できるだけ早く遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求することが法律で義務づけられています。

 遺言書が封印されている場合は、勝手に開封してはいけません。必ず、家庭裁判所で相続人立会いのうえで開封しなければならないことになっています。封印されたままで家庭裁判所に提出するということです。

 ただし、「検認」は、遺言が有効か無効を判断する手続ではありません。無事に「検認」を終えた遺言書であっても、後日、その有効性が争われる事案も相当数あります。
 
 遺言書の有効性が争われ難いという意味では、やはり公正証書遺言の方に軍配があがりますね。

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2011年3月21日 (月)

津波被災と瓦礫などの撤去

 私たちが阪神淡路大震災では経験しなかった難問が生じています。東北の被災地では、多くの家屋や漁船、自動車などが津波に流されました。まず、問題となるのは、流れ着いた自動車を取り除く作業です。

 被災地のあちらこちらに自動車が数多く流れ着いていますが、たとえ浸水したり窓が割れたりして動かなくても、明らかな無価物(要するに塵芥)と判断できない限りは他人の「財産」ですから、勝手に処分できません。

 さらに、ある人の所有土地に第三者の家屋が漂着している場合にも同様の問題が生じます。今回の津波で何十メートル、何百メートルも家屋が流された例は枚挙にいとまがありません。完全にバラバラになり瓦礫と化していれば、塵芥と判断しての処分も可能でしょう。しかし、まがりなりにも家屋としての形が温存され内部に私有財産が残っているような場合は問題が複雑です。

 いずれも所有者と連絡が取れれば問題は少ないでしょうが、現状ではかなり多数の案件について、所有者と連絡が取れない状況が長く続くものと考えられます。

 通常(平時)なら、他人の土地を占拠している自動車や家屋については、土地の所有権に基づく妨害排除請求として、それらの撤去を求めることになります。しかし、一件ごとに裁判所の判決をもらって強制執行するとなると、膨大な時間と労力及び費用が必要です。その意味で、大型漂着物(家屋や自動車など)の撤去問題が、被災地の早期復興を阻むことは間違いないものと思われます。

 そこで、例えば、瓦礫等の撤去について行政の手による処分予定をあらかじめ公告し、一定の期間内に所有者等からの連絡がなければ処分可能にするなどの法整備を早急に行う必要があるのではないでしょうか。

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