経済・政治・国際

2011年3月29日 (火)

「政治主導」が馬脚を?

 今回の震災発生以来、官邸を中心にやたらと組織が増えています。菅総理自身が本部長を務めるものだけでも、「東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部」、「原子力災害対策本部」、「福島原子力発電所事故対策統合本部」など6つもの「対策本部」があると言われています(残りの3つは未確認ですが…)。

 本来は、こういう緊急事態にこそ、我が国が誇る優秀な官僚組織を総動員して、縦割り行政の弱点を克服して複数省庁間の連携を強め、被災地の各自治体のバックアップもしながら被災者の救護・救援を急がせるのが、総理の指導力(リーダーシップ)だと思います。

 しかし、被災者の救護・救援活動がここまで遅れているのは、今回の震災が未曾有の規模であったからだけではなく、まさに菅総理のリーダーシップの欠如に大きな原因があると感じます。私には、せっかくの官僚組織がうまく機能していない…、と言うより、むしろ機能できないように官邸サイドが押さえつけている気がしてなりません。

 これは、菅総理個人の問題というより、そもそも民主党という政党の「性格」に問題があるんだと思います。彼らの狙いは何時でも「政治主導」なのです。しかし、民主党の活躍を前面に出す「パフォーマンス」の目的のために、被災者の救護・救援活動が後回しにされて良いはずがありません。

 官僚たちがお膳立てをして救護・救援対策の準備が整っているのに、「対策本部」からの「Goサイン」が出ないために動けない…という場面が幾つもありました。今こそ政官の連携が必要とされているのに、菅総理をはじめとする官邸サイドが「政治主導」にこだわる限り、我が国の危機管理(クライシス・マネージメント)は、暗礁に乗り上げて身動きがとれなくなる…と思われてなりません。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区の藤本尚道法律事務所
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2010年12月25日 (土)

「文具券」が紙切れに?

 今年(平成22年)の10月末で販売が終了された「全国共通文具券」(額面500円)の利用が12月31日で終了します。利用できなくなるのは、発行済みの文具券すべてであり、有効期限の記載の有無は関係ありませんので、注意が必要です。

 たとえば、券面に「平成23年3月31日まで有効」と記載されている文具券でも、この12月31日を過ぎると、すべて利用できなくなります。

 発行元の日本文具振興株式会社によると、平成23年(2011年)1月1日以降の取り扱いについては、平成23年1月上旬頃を目処に、同社のホームページ、全国加盟店、新聞広告などで案内される予定だそうです。

 このほか「音楽ギフトカード」や「花とみどりのギフト券」なども、同様に近々その利用ができなくなります。ご注意ください!

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2010年12月 6日 (月)

なんで「暴力装置」?

 仙谷官房長官が参院予算委員会で自衛隊を「暴力装置」と表現したことが問題となっています。そもそも「暴力装置」という言葉は、ロシアの革命家レーニンが「国家は特別な権力組織であり、何らかの階級を抑圧するための暴力組織である」(「国家と革命」1917年)として、武力革命を理論的に正当化したことから生まれた言葉のようです。ドイツの社会学者マックス・ウェーバも警察や軍隊を指して「政治は暴力装置を独占する権力」と表現したと言われていますが出典は不明です。

 ともかく、政治学の世界では、警察や軍隊あるいは国家権力そのものを「暴力装置」と呼ぶことがあるようです。その意味では、少なくとも「警察予備隊」であった自衛隊(軍隊・軍事組織と呼ぶかどうかはさておき)を「暴力装置」と表現したとしても、理論的には直ちに誤りだとは言えないのかも知れません。旧社会党出身で、かつては全共闘の新左翼系活動家だったという仙谷氏の「本音」だとの意見もあります。ただし、これを官房長官の立場で言うことの是非は別問題です(この点は後述します)。私自身も、このような表現は、日夜厳しい訓練に励み、日本国民の平和と安寧を守るために頑張ってくれている自衛隊員に対し、極めて失礼なことだと思います。

 当然のことして、この問題では、現役の自衛官から怒りや不快感、失望の声があがったとされ、菅総理大臣も「自衛隊の皆さんのプライドを傷つけた」として陳謝しました。自民党からは「命懸けで国土を守る自衛官への冒とく」と批判され、公明党も「体を張り命を懸ける自衛隊員の誇りを何故傷付けるのか」との批判を展開しています。

 しかし、このような形で「千谷発言」を批判するだけでは、単なる「言葉狩り」に終始しているに過ぎず、「自衛隊員に失礼だから謝れ!」あるいは「失言の責任を取って辞任せよ!」などということで終わってしまいます。それでは、この問題の本質が何も見えてきません。

 そもそもの発端は、今年11月3日に開催された航空自衛隊入間基地での「航空祭」式典で、地元の「自衛官OB会」代表が挨拶の中で民主党政権を批判したことにあります。これを受けて、防衛省はあわてて11月10日付の「事務次官通達」を出し、その中で「防衛省の行事の来賓に政治的発言を控えるよう求める際の定型文」を定めるとともに、現役自衛官が出席する会合について、自衛隊の政治的な中立性に誤解を招きかねない内容が含まれていないかどうか確認するよう求めるなどしました。

 つまり、本質的な問題は、この「通達」の内容が「事前検閲」を求めるものであり、自衛隊員のみならず、自衛隊に関わる民間人の政治的発言を封じ込めようとする意図を含んではいないか…という点にあります。自衛隊主催の会合で民主党政権の悪口を言うな、民間主催の会合でも民主党政権の悪口を言うようなところには、現役自衛官は参加させないぞ…というのがこの「通達」の本音だと私には感じられます。

 仙谷氏は「自衛隊が政治に関与したとの誤解を受けてはならない」との文脈の中で「暴力装置である自衛隊は軍事組織でもあるから、シビリアンコントロールが効かなければならない」と語りました。しかし、先ほど説明したように「暴力装置」という言葉は、レーニンが国家権力の本質をそのように表現して「武力革命」を理論的に正当化するために作った用語です。日本国憲法下の民主主義政治を前提に政権を担う側の人間が、自分たちがコントロールすべき自衛隊組織を評して、このような用語を使うのは「本末転倒」というものです。この度ようやく「政権交代」を果たした民主党の皆さま方には、自分たちこそが「暴力装置」と評される立場になったという自覚が、まだまだ足りないようです。

 仙谷氏は自衛隊の式典等における民間人の政権批判につき「制限」を加えることの正当性を主張しています。しかしながら、シビリアンコントロールを根本から支える「民主主義政治」を大前提とするならば、表現の自由に対する「弾圧」は絶対に避けなければならないことです。表現の自由なくして民主主義は成立し得ないからです。今回の発言で一番問題とされるべきは「自衛隊組織及びその周辺における政権批判は制限すべきだ」とする、仙谷氏の発想そのものではないでしょうか。

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2010年8月 8日 (日)

司法修習生の給費制の維持を求めて

 司法修習生ってご存知ですか? 司法試験に合格して裁判官・検察官・弁護士になるための実務研修を受けている人たち・・・言わば法曹の卵であり、かつては「法律家のインターン」などと呼ばれた時代もありました。修習期間は1年。最高裁判所の下に設置された司法研修所に所属し、身分は「準公務員」として扱われています。司法修習制度が発足して60年以上経ちますが、その間、公務員に準ずる「給与」が支給されてきましたし、年金や健康保険にも加入してきました。

 ところが、今年の11月に採用される司法修習生からは、給与がまったく支給されなくなります。政府の方針により司法試験の合格者を年間3000名に増やす方向で推移してきた反面、それに必要な司法予算の増額措置が取られなかったため、私たちの時代は2年だった修習期間が段階的に減って1年に短縮された上、ついには60年以上続いた司法修習生の「給与制」の廃止までもがすぐ目の前に迫っています。

 かつて医師の世界では2年間のインターン時代は無給のため、時間外にアルバイトをせざるを得ない過酷な状況にありましたが、現在では研修医として給与を受けられるよう制度改革がなされています。他方、司法修習生には法律上「修習専念義務」があり、時間外のアルバイトすら一切許されませんから事情はさらに深刻です。

 さて、それでは司法修習生はどうやって生活していくのでしょう。大学を出て法科大学院に入り最短の2年で卒業して司法試験に「一発合格」した場合でも24~25歳です。もう親に生活の面倒を見てもらう年齢でもありません。最高裁判所は「大丈夫ですよ、希望者には生活費を貸与する制度がありますから」などと言っていますが、それでは根本的な解決にならないことは明らかです。

 日弁連の「司法修習委員会」が実施した「新62期司法修習生の経済事情について」というアンケート調査結果によると、司法修習生で大学や法科大学院在学中に奨学金を利用した者は55.8%あり、その借金の平均値は407万円、一番多い人では何と1262万円にも上っています。僅か52名のアンケート回答ですが、これは実態と大きくかけ離れているだろう…などと言って簡単に見過ごせる数字ではありません。

 司法修習生の給与がなくなり「貸与制」になれば、このような多額の借金に、さらに修習期間中の給与(貸与分)が加算されます。具体的には月額25万円の貸与を受けると1年で300万円の借金が増えるわけで、奨学金と合わせると1人平均700万円以上もの借金を抱える結果になること、しかもそれが新人法曹の約60%に及ぶことなどが予想されます。

 そのうえ、新人弁護士の就職難は、ノキ弁(イソ弁は給与があるがノキ弁は事務所に置いてもらえるだけで無給)や、即独(イソ弁になれず実務経験がないまま独立して事務所を構える)の増加を促進しています。多額の借金を抱えたまま、就職も困難…と言うのではそれこそ地獄です。このままでは、弁護士資格を持ちながら別の職業に就かざるを得ない人も出てくるでしょうし、いずれは弁護士志望者を含めた法曹を目指す人々が激減することは目に見えています(もう既にそのような傾向が出始めているとさえ言われています)。

 要するに、経済的に裕福な家庭の子女・子息であるか、あるいは多額の借財を覚悟の上でしか裁判官・検察官・弁護士を目指せない…というのが、現在の我が国の「法曹養成制」度なのです。このような世界に類をみない「いびつな形」の法曹養成制度が、決して永続きするわけはありません。

 本当に今、法曹養成制度の見直しを行なわないと、この国の司法制度は滅んでしまいます。司法が弱者救済の「最後の砦」であることに照らせば、弱者が切り捨てられる社会になってしまうわけですから、市民の皆様にとっても、けっして無関係な問題ではありません。

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