ニュース

2012年5月28日 (月)

「震災がれき」がアブナイ?

 「震災がれき(災害廃棄物)」の広域処理については、私は、原則として、広く国民が被災地とともに考えるべき問題…だと思っています。絶対反対!の声も根強いのですが、なかには誤解に基づく反対もあるのでは…と感じています。そもそも福島県内の「がれき」を県外にて処理しようという話ではありません。

 福島県内の「がれき」は核物質拡散による汚染度が高く、県外に出すことは「放射性廃棄物を全国にばらまく」ことにつながります。これについて、国民の皆さんが疑問や不安を抱くのは、至極当然なことだと思います。しかし、今回の「広域処理」からは「福島県の震災がれき」が除外されています。これを一緒にして議論してしまうと、問題点の本質が見えにくくなってしまうと思うのです。

 それでは、そもそも岩手県・宮城県の「震災がれき」は、「放射能汚染」の点で大丈夫なのでしょうか? 環境省によれば、放射性セシウムについて、焼却前で1㎏当たり240~480ベクレル(焼却炉の能力に応じて)以下、焼却灰埋め立て処分の場合は、(焼却によって凝縮されて濃度がアップするので)1㎏当たり8千ベクレル以下の濃度であること…がそれぞれ安全の目安とされています。

 ところが、東日本大震災以前から存在する「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第61条の2第4項に規定される「製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則」(平成17年経済産業省令第112号)によれば、「金属くず、コンクリートの破片等についてのクリアランス・レベル」は、セシウム-134及びセシウム-137について、それぞれ1gあたり0.1ベクレルです。つまり1㎏あたりに換算すると「100ベクレル以下」になります。

 クリアランス・レベルという考え方は、一定の値以下のものは、放射性廃棄物としてではなく産業廃棄物としての処理を可能とするものです。それが、これまで金属くず、コンクリートの破片などの放射性セシウムについて1㎏あたり100ベクレル以下と規定されていたのに、今回の「焼却灰」を埋め立て処分する場合についての基準は80倍の1㎏あたり8千ベクレルまでOK…と国の基準が大幅に拡大されています。

 私は、被災地の1日も早い復興の一助となるのであれば、冒頭にも書いたとおり、「震災がれきの広域処理」について「総論的に賛成」なのです。しかし、上記のような現状を踏まえる限り「各論的には反対」と言わざるを得ません。国の基準値設定が余りに「場当たり的」かつ「杜撰」だからです。

 このたび、福井県の敦賀市は、「国の基準より厳しい、放射性セシウム濃度が1㎏あたり100ベクレル以下の木くずに限り年間600トンを受け入れる」と発表しました。この考え方は、従来の「クリアランス・レベル」の値に沿うものですから、一応の説得力があると思います。

 兵庫県内自治体の多くは、被災体験に照らし、震災がれきの受け入れに前向きのようです。ただ、国の基準を「鵜呑み」にするのではなく、敦賀市のようにきちんと具体的な基準値(クリアランス・レベル)を検討したうえで、受け入れ態勢を作って欲しい…と、私自身は考えています。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
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2012年5月26日 (土)

生活保護がアブナイ

 吉本の売れっ子芸人の実母が生活保護を受けていたことで、「不正受給」の問題がクローズアップされています。本件で生活保護の受給が始まった時点では、何ら問題はなかった(不正受給ではない)と私は思います。当時は無名芸人で、年収100万円未満だったと言いますから、さすがに「実母に仕送りせぇよ」とは言えません。その意味で、吉本が「不正受給ではない」と断言したのも、この受給スタート時点での事情を見据えてのことでしょう。

 しかし、その後、彼が幸いにして「売れっ子への道」を進み、母への「仕送り」が十分可能になった時点で、実母の生活保護にストップを掛けるべきだったと思います。彼のサイドから申し出ても良かったでしょうし、彼のテレビ等への出演が増えた段階で、役所サイドからチェックを入れるべきだったのかも知れません。

 そもそも、生活保護受給に向けての「スタート時点」では、かなり厳しい審査を受けますが、一旦、受給要件をクリアしてしまうと、役所側のチェックは甘くなりがちです。仮に、世帯内に一人でも稼働可能な家族があり、何らかの収入を得ている場合には、適正額との「差額」のみが生活保護の対象となるため、毎月シビアな査定作業が行われます。ところが、彼の実母のように単身で病身というパターンでは、毎月の収入チェックは自然とおろそかになりがちです。ましてや、扶養義務者の収入状況まで目を届かせるのは極めて困難…と言うのが実情でしょう。

 実は、親族間の扶養義務は、とても微妙なものを含んでいます。そもそも自分の実の父母に対する関係では、一般的に扶養義務が否定される理由はあり得ません。しかし、親子間に何らかの「確執」があって、日頃から互いに何の行き来もないような親子関係の場合にまで、扶養義務の履行を「強要」するわけには行きません。

 また、いったん「当然」になってしまった「給付」を、「もういらない」と言うためには、かなりの「勇気」が必要でしょう。芸能界での「浮沈」は誰にも予測できません。「よっしゃ、売れたぁ!」と思っても、「一発屋」ですぐに沈んでしまわないとも限らないからです。その意味で「もう大丈夫」と思える時期が何時か?…の判断は結構むずかしいと思うのですよね。

 彼は、自分が「売れた」時期に遡って、保護費の返還をしたいと言明しています。たとえるなら「梅雨入り」「梅雨明け」が何時だったか…すら、あとで判るようなご時世ですから、こういった形での「謝罪」や「修復」も、許されて良いのではないかと私は思います。

 逆に、本来、生活保護を受けるべき人々が申請をためらい、あるいは行政サイドが保護すべき人々を見捨てるような社会にはなって欲しくありません。そのためにも、はびこっている「不正受給」の糾弾は絶対に必要だと思いますが、本当に糾弾すべき「不正受給」は、実は私たちの目には見えていない…と思うのですけれど。

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生活保護がアブナイ

 吉本の売れっ子芸人の実母が生活保護を受けていたことで、「不正受給」の問題がクローズアップされています。本件で生活保護の受給が始まった時点では、何ら問題はなかった(不正受給ではない)と私は思います。当時は無名芸人で、年収100万円未満だったと言いますから、さすがに「実母に仕送りせぇよ」とは言えません。その意味で、吉本が「不正受給ではない」と断言したのも、この受給スタート時点での事情を見据えてのことでしょう。

 しかし、その後、彼が幸いにして「売れっ子への道」を進み、母への「仕送り」が十分可能になった時点で、実母の生活保護にストップを掛けるべきだったと思います。彼のサイドから申し出ても良かったでしょうし、彼のテレビ等への出演が増えた段階で、役所サイドからチェックを入れるべきだったのかも知れません。

 そもそも、生活保護受給に向けての「スタート時点」では、かなり厳しい審査を受けますが、一旦、受給要件をクリアしてしまうと、役所側のチェックは甘くなりがちです。仮に、世帯内に一人でも稼働可能な家族があり、何らかの収入を得ている場合には、適正額との「差額」のみが生活保護の対象となるため、毎月シビアな査定作業が行われます。ところが、彼の実母のように単身で病身というパターンでは、毎月の収入チェックは自然とおろそかになりがちです。ましてや、扶養義務者の収入状況まで目を届かせるのは極めて困難…と言うのが実情でしょう。

 実は、親族間の扶養義務は、とても微妙なものを含んでいます。そもそも自分の実の父母に対する関係では、一般的に扶養義務が否定される理由はあり得ません。しかし、親子間に何らかの「確執」があって、日頃から互いに何の行き来もないような親子関係の場合にまで、扶養義務の履行を「強要」するわけには行きません。

 また、いったん「当然」になってしまった「給付」を、「もういらない」と言うためには、かなりの「勇気」が必要でしょう。芸能界での「浮沈」は誰にも予測できません。「よっしゃ、売れたぁ!」と思っても、「一発屋」ですぐに沈んでしまわないとも限らないからです。その意味で「もう大丈夫」と思える時期が何時か?…の判断は結構むずかしいと思うのですよね。

 彼は、自分が「売れた」時期に遡って、保護費の返還をしたいと言明しています。たとえるなら「梅雨入り」「梅雨明け」が何時だったか…すら、あとで判るようなご時世ですから、こういった形での「謝罪」や「修復」も、許されて良いのではないかと私は思います。

 逆に、本来、生活保護を受けるべき人々が申請をためらい、あるいは行政サイドが保護すべき人々を見捨てるような社会にはなって欲しくありません。そのためにも、はびこっている「不正受給」の糾弾は絶対に必要だと思いますが、本当に糾弾すべき「不正受給」は、実は私たちの目には見えていない…と思うのですけれど。

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2012年5月25日 (金)

防犯カメラの威力

 東京メトロの「渋谷駅」構内で男性が刃物で刺された事件で、警視庁の捜査1課は平成24年5月23日、殺人未遂容疑で容疑者を逮捕しました。事件発生からたった2日というハイスピードでの容疑者逮捕には、本当に舌を巻きますね。

 被害者にとって「訳あり」の事件ではなく、まったく面識のない相手で、まさに突発的な「通り魔的事件」でしたから、正直なところ容疑者に辿り着くまでにはかなりの時日を要するかも…と、私自身は危ぶんでいました。それが、たった2日で逮捕…。

 警視庁は、防犯カメラの画像を公開して、逃走した容疑者の行方を追いました。容疑者が「副都心線」のホームから移動して「半蔵門線」に乗車し、「永田町駅」で「有楽町線」に乗り換えたことを確認しています。これだけでも驚きですが、さらに「渋谷駅」のトイレに立ち寄ったこと、最後に「東武東上線」の「朝霞台駅」で降りたことをも確認するなど、容疑者の「足取り」を完璧に押さえています。

 警視庁は、事件前後の容疑者が映った防犯カメラ画像を公開しましたが、すぐに一般市民から「似たようなバッグを持った男を知っている」という情報が寄せられ、あっという間に容疑者が絞り込まれて行ったようです。

 私たちが、防犯カメラの威力をまざまざと見せつけられたのは、昨年(2011年)1月に発生した東京目黒の夫婦殺傷事件でした。このときも警視庁は、東京メトロ日比谷線「中目黒駅」の防犯カメラに映った男の足取りをたどり、事件発生から1ヶ月で容疑者逮捕に漕ぎ着けたのでした。

 しかし、今回はたったの2日です。現場が都心に近く、防犯カメラがたくさん設置されていたことが幸いしたのかも知れません。それにしても、私たちは「監視される社会」に首までズボッと浸かってしまいましたね。「9.11」以降、「治安が良く安心して暮らせる社会」への希求が強まっていますし、私自身もその風潮を「良し」とししまっていることを実感します。

 ちょいと、そこのオトーサン。警察が本気になれば、あなたの日頃の「所業」なんて、ぜ~んぶ「丸ハダカ」にされちゃいますよぉ(笑)。くれぐれもご用心!

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2012年5月19日 (土)

「電力自由化」と「発送電の分離」

 今日(2012年5月19日)の神戸新聞朝刊第一面に「電力小売全面自由化」のニュースが載っていました。経済産業省の「電力システム改革専門委員会」が、電力小売について、「家庭向けを含めた全面的な自由化」を決めたとのことです。このニュースの中で、最も重要なキーワードは「発送電の分離」すなわち「発電事業」と「送配電事業」の分離です。

 一般的にあまり知られていませんが、「電力自由化」の動きは1995年(平成7年)の「電気事業法改正」にさかのぼります。発電事業への新規参入が拡大されるとともに、新たな電気事業者(特定電気事業者)による小売供給が認められるようになりました。しかし、新規事業者が送電する場合は、従来からの電力会社の送電線を使うしかありません。

 その後、1999年(平成11年)や2003年(平成15年)にも、あらためて電気事業法が改正されましたが、「発送電の分離」は見送られました。電気は貯蔵が困難であり、需給を均衡させることも難しいという特性を持っています(その意味で、夜間電力が安価に設定されている理由は簡単に理解が可能でしょう)。そのため、「電気の安定供給」という大義名分のもとで、「発電設備と送電設備の一体的な整備・運用」が維持されてきました。

 他方で、電力の小売市場全体のうち6割(50キロワット以上の電力需要者について)が自由化され、すでに特定規模電気事業者(PPS)45社が参入しています。ところが、PPSの販売電力量は全体のシェアのうち、たった3%に過ぎないのです。このように「電力自由化」が進まなかった理由は、まさに「発送電の分離」がなされなかった点にあります。

 PPSが企業や工場、病院などに電力を販売する場合でも、送電については独占企業である電力会社の送電線を借用するしか方法がありません。その場合「託送料」という、いわば「電気の通行料」を支払う必要があります。しかも、東日本大震災の直後、東京電力は「計画停電」を実施しましたが、その際、東京電力が一方的に送電線の利用を止めたため、PPSは契約顧客に対する電力を十分に確保していたにもかかわらず、電力が顧客に届かないという事態が生じました。

 要するに、「計画停電」を実施した際、PPSと契約している顧客だけに電力が確保される…という事態を避けるため、東京電力は一方的に送電線の利用を全部止めたのです。この際、東京電力は「電力の安定供給」という大義名分を掲げていましたが、実際のところは「PPSに出し抜かれては困る」という「独占企業のエゴ」があからさまに噴出した場面と見るべきでしょう。

 今回の経済産業省の発表で、ようやく「発送電分離」が日の目を見ました。これで「電力自由化」も加速するのではないかと言われています。従来の電力会社が既得権益を守るために事実上「地域独占」を続け、電気料金が「高止り」してきた…とも言われています。今後は、電気料金の問題だけではなく、「原発に依存しないPPS」「太陽光発電を主体としたPPS」などを選択する自由も確保出来るのではないか…と私は期待しています。

 ともかく、既存の独占的電力会社にとって「発送電分離」は「目の上のタンコブ」です。私たち市民・国民がきちんと監視しないと、この「発送電分離」が何時の間にか闇に葬られていた…という事態もあり得ないことではありません。ご用心!

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2012年5月15日 (火)

DVがアブナイ

 大衆演劇の人気役者がDV疑惑?…と言う話題が沸騰していますね。DVとは「ドメスティック・バイオレンス」のことで、夫婦間の暴力だけでなく「親密な関係にあるパートナー間の暴力」と、対象範囲が少し広く定義されています。

 この「暴力」とは、必ずしも「殴る」「蹴る」などの身体に対する暴力だけでなく、精神的暴力(無視する、罵声を浴びせる)や、性的暴力(性的関係の強要など)といった要素も含まれます。そして、DVの特徴は、その「反復性」と「エスカレート性」なのです。

 DVには特徴的なサイクルがあります。それは、「爆発期」→「ハネムーン期」→「緊張期(蓄積期)」と言う3つの周期であり、「緊張期」のあとは再び「爆発期」が訪れます。

 「爆発期」に凄まじい暴力を振るう「だめんず」でも、涙を流して自分の行為を真剣に謝罪し、その後はもうトロけるくらいに優しく(ハネムーン期)なったら…、女性は「やっぱり、私じゃないと、このヒトはダメなんだぁ」と相手のことを許してしまうかも知れません。その後、何事もないような「緊張期(蓄積期)」が訪れ、その後は再び…(涙)。

 かの人気大衆演劇役者の問題でも、「もう仲直りしました!」と言う彼のコメントが報道されていますが、意地悪な私は、「ああ、ハネムーン期に入ったの?」などと、勝手に想像してしまいます(笑)。

 さて、この「DVサイクル」は、どんどんエスカレートして行くのも、大きな特徴です。いったんは「修復」が出来てしまった訳ですから、「ここまでは大丈夫」という自信(?)にもつながるのです。そのため、DVサイクルが進むにつれ、暴力の頻度や程度が酷くなることが多いのです。

 しかも、修復の際に、「暴力を振るう俺も悪いけど、俺に暴力を振るわせるオマエも悪いんだよぉ」などと言う「屁理屈」に洗脳されてしまい、「悪いのはカレだけじゃない」と思い込む女性も少なくありません。この被害者側の不要な「自省」が、DV問題の発覚と解決を遅らせる傾向をもたらすこともまた事実です。

 DV案件は、親密な間柄の問題であるため、第三者には相談しにくい面があります。しかし、第三者だからこそ「見える」ことも沢山あります。また、「こんなことくらいじゃ警察は動いてくれない」などと、勝手に判断しがちですが、昨今の警察は驚くほどDV案件に敏感です。DVかも?…と感じているあなた、けっして「泣き寝入り」をしてはいけませんよぉ!

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2012年5月12日 (土)

原発「再稼働ありき」の理由?

 北海道の泊原発の停止で、原発稼働が42年ぶりにゼロとなっている状況下、関西電力の大飯原発3・4号機の再稼働が問題となっていますが、いずれの報道を見ても、政府及び関西電力は「再稼働ありき」を前提にしているとしか感じられません。

 この夏、大飯原発の再稼働がなければ、関西電力管内の電力供給は14.9パーセントものマイナスになる…との「試算」も、実のところは本当かどうかわかったものではありません。統計や試算といったものは、必ずそのデータの使用目的にあわせた「マジック」が潜んでいますから。

 私自身は「脱原発」を目指すべきだと考えますが、それでも、現在の原発稼働ゼロの状況をこのまま継続することは難しいのではないかと思っています。原発に依存する政策が、それ以外の発電方法(いわゆる「クリーン・エネルギー」)に関する研究や実用化を阻害してきたからです。今回の関電の「電力不足」アピールは「眉つばもの」と感じますが、安定したエネルギーの供給は、国民生活を守り、産業を推進させるうえで不可欠です。

 ところで、平成23年3月25日に印刷が完了する予定だった「平成22年版原子力白書」は、急遽その発行が中止になりました。その後も発行に向けた動きがありませんので、2008 年12 月31 日現在のデータ(平成21年版原子力白書) しか見つかりませんでしたが、我が国における核燃料物質保有量は以下のとおりです。
  ① 天然ウラン:     1,241(t)
  ② 劣化ウラン:   14,492(t)
  ③ 濃縮ウラン U: 19,954(t)
  ④  〃   U-235:     425(t)
  ⑤ トリウム:            2(t)
  ⑥ プルトニウム: 146,390(kg)

 このように、核燃料の「在庫」が沢山残っているわけで、これらを是非とも「有効利用」したいと電力会社は考えているはずです。これが、原発「再稼働ありき」の大きな理由の一つかも知れません。

 しかし、だからと言って原発「再稼働」のハードルを安易に下げることは、けっして許されるべきではありません。福島第一原発の事故原因すら必ずしも明確でなく、事故状況の把握や事故処理にまだまだ終止符が打つことが出来ていないのです。かかる状況を前提とする限り、日本中の原発の再稼働に向けての安全基準の策定やその安全確認は、極めて厳格に行わざるを得ないと考えます。

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2012年5月 6日 (日)

バス事故の「真犯人」は誰か?

 今回の夜行バスの事故は、運転手の「居眠り運転」が原因とされています。バス会社側は、運転手が「直前3日間は勤務していない」として、加重勤務シフトに基づく過労運転ではない旨をしきりに弁明していたのが印象的です。

 しかし、この運転手は「スポット契約」つまり「日雇い労働」であったことが判明しました。これは明白な法令違反です。「旅客自動車運送事業運輸規則」の第36条は「旅客自動車運送事業者は、次の各号の一に該当する者を前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。」と定めています。ここにいう「各号」とは以下の1~4です。
  1  日日雇い入れられる者
  2  2月以内の期間を定めて使用される者
  3  試みの使用期間中の者
  4  14日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者

 上記法令がこのような「短期雇用者」を運転者としてはならない旨を定めている理由は、そういった雇用形態では、運送事業者の運転者に対する安全管理・監督が十分に行き届かないことを危惧したからです。殊に「日雇い」だと、働いていない期間の運転者の行動が把握できません。幾つかの会社を掛け持ちして、連日運転業務に従事している可能性も否定できないわけです(現に、逮捕された運転手は、別途個人名義のバスを保有し、無許可で観光バス事業を営んでいた疑惑が浮上しています)。その意味で、今回の事故は、まさに「危惧されていた事態」が起きただけ…と言っても過言ではありません。

 思い起こせば、小泉純一郎内閣は、「規制改革」の美名のもとに種々の規制緩和政策を敢行しました。自動車運送関係だけでも、①タクシー台数の制限撤廃、②貨物自動車運送業への新規参入の条件緩和、そして、③バス運送事業への新規参入の緩和…などが挙げられます。いずれの業界でも、「価格破壊」が進み、一見すれば消費者にとって喜ばしいことのように見えました。しかし、その反面では、零細業者が乱立し、各社間の競争の激化などが進んだ結果、運転手の収入が大幅に減少するとともに、運転手の労働環境悪化、過重な長時間労働、過労による重大事故の増加などの由々しき事態を招いています。

 今回のバス会社が、法令に違反してまで「日雇い労働」の運転手を乗車勤務させた理由は、運転手をスポットで雇い入れることで会社の労務費負担を軽減させようと考えたからに他なりません。価格競争の「しわ寄せ」は労働者に及び、そのツケは消費者(乗客)の安全に向けられたというのが実情です。

 「見えざる手」による「価格破壊」は、結局のところ、我々消費者(乗客)の安全を大きく脅かすことになったというのが結論です。その意味で、今回の事故のホントの「真犯人」はいったい誰なのか、真摯に考え直す必要があると思います。

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2011年5月22日 (日)

暴力団の資金源に変化が

 読売新聞(5月22日配信)によりますと、昨年、全国の警察に、詐欺事件で摘発された暴力団関係者の数が恐喝事件で捕まった数を2年連続で上回ったそうです。暴力団対策法改正で、組上層部の「使用者責任」が問われるようになり、「○○組の…」と、組をカサに着る脅しが難しくなったためと見られています。結果として、資金源は、公金詐取や振り込め詐欺など、暴力団とはわかりにくい犯罪へと移行しているもようです。

 警察庁によれば゙、2006年に2,523人だった暴力団関係者の恐喝事件での摘発数は、2009年は1,800人、2010年は1,684人と減少の一途をたどっている一方、詐欺事件での摘発は徐々に増え、2009年に過去最高の2,072人に達して恐喝を抜き、2010年もその差は広がりました。

 背景には、2008年8月施行の改正暴対法があります。末端組員の恐喝行為による経済的な損害で、組幹部に賠償を求めることが可能になったため、「組」をちらつかせていわゆる「用心棒代」を要求することが難しくなりました。そのため、暴力団の資金源に変化が生じているわけです。

 ところで、兵庫県弁護士会では、「民事介入暴力対策委員会」が、兵庫県警察本部や暴追センターなどとも協力しながら、いわゆる「民暴問題」に取り組んでおり、私もこの委員会に所属しています。

 通常の刑事事件などでは立場が対立しがちな警察と弁護士ですが、民暴問題については情報交換や協力体制などがしっかりしており、暴力団に対する民事・刑事両面での追及・摘発に力を入れています。

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2011年5月10日 (火)

公務員はツライよ!

 阪神淡路大震災のときもそうだったんですが、被災地の公務員の皆さん方は、自分の家族の安否をさて置いてでも「職務」に精励しておられます。普段(平時)は、「親方日の丸」だの、「不況知らず」だの、「ラスパイレス指数の高低」だの、とかく批判の対象にされがちの公務員ですが、イザというときには頼りになるなぁ…と、今更ながらに感じ入ってしまいます。

 日本国憲法15条第2項が「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めているとおり、「公務員=公僕」という思想が、我が国の民主主義社会を支えていると言っても過言ではありません。

 ところが、そのような「公僕の模範」ばかりではないようで、「敵前逃亡」を理由に処分される公務員もおられるようです。

 時事通信(5月10日配信)によると、茨城県土浦市は、福島第1原発事故による被ばくを恐れ、3月17日から2日間休暇を取り、県外へ避難したとして、男性公務員を「訓告処分」にしています。また、3月下旬に4日間ずつ休暇を取得した部課長補佐2人についても「厳重注意」としています。土浦市は「全職員が24時間体制で働いていた中で、このような行為は市民からの信用失墜を招きかねない」と説明しているところです。

 まさに「敵前逃亡」は市民からの信用失墜を招くでしょう。イザというときに頼りになるからこそ、市民の多大なる信頼を勝ち取ることが出来るんだと思います。各地の自治体の公務員の皆さん方が、不断の努力を続けておられるだけに、たいへん残念なニュースです。

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