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2016年2月 5日 (金)

「完落ち?」があやしい

 一部報道によると、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたK容疑者は「完落ち」の状態だ…とのことです。覚せい剤の所持も使用も、全面的に認めているうえ、覚せい剤の入手ルートや、同じルートで覚せい剤を入手していた有名(大物?)芸能人の名前もいずれ出てくるだろうという…というところから「完落ち」の表現が使われています。

 しかし、他方では、K容疑者は覚せい剤の入手先について「今は言わない」と供述している…との報道もあります。もし仮に、後の方の報道が正しいとするならば、彼はまだ「完落ち」とは言えないでしょう。覚せい剤や麻薬などの薬物事犯において、警察や検察が重視するのは容疑者が「ネタ元(入手先)」をウタう(自白する)か否かです。これがあってはじめて「完落ち」と言えるのです。

 何故なら「ネタ元」を隠す容疑者は、将来も「ネタ元」を残しておきたいと考えているからであり、本当に「クスリ」をやめる「決意」がないからです。この点、「薬物経験者」で有名な元タレントT氏も同様の分析をしています。T氏は「売人の名前を言わない」のは「出所したときに連絡ができなくなり、次に頼めなくなるから」と、TVのインタビューに答えていますが、「経験者」だけにたいへん説得力があります。

 もちろん、覚せい剤などの入手先が暴力団関係者等である場合、自分や家族の身の安全を案じて容疑者が「ネタ元」をウタわない場合もあります。そのような場合、警察は当然ながら供述調書に「ネタ元」をそのまま書いたりはしません。そこには「別の工夫」があるわけで、「ネタ元」への捜索差押令状を取得するための証拠資料としては使うけれど、そういった調書を容疑者自身の刑事記録にそのまま綴ったりはしない…といった「配慮」も必要になってくるわけです。

 ですから、報道などで「ネタ元をウタっていない」などと聞かされても、それをそのまま素直に信じるかどうかは考えものです。報道とは裏腹に、実は容疑者がすっかり自白していることだってあり得るからです。捜査官が「逆の事実」をマスコミに「リーク」することによって、「完落ち」した容疑者を守っているという構図です。

 犯罪捜査にかかわる報道は、警察発表をそのまま流すだけでなく、各社の記者がそれぞれ「ウラ取り」をする独自取材が真骨頂です。捜査関係者に対する「夜討ち」「朝駆け」などで聞き出す情報が「命」であり、これによって他社を抜く「スクープ記事」も成り立っています。個々の記者の力量もさることながら、記事の「ネタ元」も結構重要だということですね。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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