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2013年10月31日 (木)

司法試験があぶない(終)

 長々と書いてきましたが、現状で最も問題なのは、司法試験に合格して司法修習生になった後の「待遇」です。司法修習制度が出来たのは60年以上も前のことで、発足当初から司法修習生に対しては公務員に準ずる「給与」が支給されてきましたし、年金や健康保険にも加入してきました。

 ところが、現在の司法修習生には、給与がまったく支給されません。60年以上続いた司法修習生の「給費制」の制度自体が廃止されてしまったのです。これも司法制度「改革」として法曹人口の大量増員を図ろうとした際の「失敗」です。つまりは、司法試験の合格者を増やして司法修習生をたくさん採用する計画を立てたものの、必要な予算措置が取れないため、司法修習生の「給与」が全部カットされることになった…というわけです。

 かつて、医師の世界では2年間の「インターン」時代は無給のため、時間外にアルバイトをする過酷な状況にありましたが、現在では「研修医」として給与を受けられるよう「制度改革」がなされています。他方、司法修習生には法律上「修習専念義務」があり、時間外のアルバイトすら一切許されませんから、事情は「インターン」よりさらに深刻です。

 それを埋めるために、「希望者に生活費を貸与する制度」が発足しています。つまりは「借財」です。たとえば、月額25万円の「貸与」を受けると1年で300万円の「借財」になるわけです。しかも多くの司法修習生は、すでに「奨学金」と言う名の「借財」を抱えています。

 結局のところ、経済的に裕福な家庭の子息子女であるか、あるいは「多額の借財」を覚悟の上でしか裁判官・検察官・弁護士を目指せない…というのが、現在の我が国の「法曹養成制度」なのです。このような、世界に類をみない「いびつな形」の法曹養成制度が、決して永続きするわけはありません。

 私たちの時代は、司法試験に合格して司法修習生にさえ採用されれば「人並みの生活」が送れる…などと考え、ツライ受験生活に耐えてきました。いまや、司法修習生になったら「借財」を背負わされるのです。こんな情けない制度設計のどこが「改革」だったのでしょうか(涙)。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!

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