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2013年8月 2日 (金)

「監視社会」への道(1)

 昨日のブログで「公安警察」に触れたところ、友人から「刑事警察と公安警察の違いがわからない」との指摘を受けました。FacsBookでコメントをしたので重なる点もありますが、この部分は「監視社会」を考えるうえで重要な問題をはらんでいます。

 「刑事警察」と言うのは、犯罪を事後的に捜査し、被疑者を検挙して送検するのが主な仕事です。毎日の新聞やTVでの報道を賑わせているのは、ほとんどが「刑事警察」の活躍です。

 これに対し「公安警察」は、主に極左・右翼などの組織・団体に対する捜査や情報収集を行うことを任務とするもので、日本国の治安・秩序・体制などを守る目的で動いています。検挙することは「二の次」であり、「事件が起きる前」に動き、「事件を起こさせない」ことに主眼を置いています。隠密行動が当然ですから、マスコミなどに追われることもなく、誰が・何をターゲットに・どのように動いているか…など、その「全容」はまったくと言えるほど不明なのです。

 デュープロセス(適正手続)という言葉があります。適法な手続によらなければ刑罰を科せられないという意味であり、具体的には身柄拘束や証拠収集などの手続が「適法」であることが要求されます。「手続が適法かどうか」は、最終的に裁判所が判断します。たとえば、裁判所に提出された証拠は「適法に収集されたか否か」が事後的に問題とされ、「違法収集証拠」と判断されれば、裁判手続における証拠から排除される…という形で、「適正手続」が担保されています。

 すなわち、裁判所に提出される証拠は、「適法に収集されたか?」という「フィルター」にかけられますが、そもそも「検挙」→「裁判」という手続過程を予定していない案件においては、「適正手続」を踏んで収集された証拠か否か…を裁判所がチェックする機会がありません。

 そうすると、公安警察的な発想からは、検挙は「二の次」ですから、「適正手続」を踏むことは必ずしも「優先事項」ではありません。つまりは「世間に露見さえしなければ良い」という発想につながりかねないのです。

 その意味で、捜査対象者の自動車に勝手にGPS端末を取り付けて行動確認をする…という発想は、まさに公安警察の監視態勢から出てくる感覚ではないかと、私には感じられてしまうのです。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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