« 「監視社会」への道(5) | トップページ | 日本語があぶない(1) »

2013年8月 7日 (水)

「監視社会」への道(終)

 このテーマで書き続けると、ネタは尽きないのですが、読者の皆様もそろそろ飽きてこられたでしょうから(笑)、いったんここで「シリーズ」に区切りをつけたいと思います。

 今回は「Nシステム」について触れましょう。正式名称は「自動車ナンバー自動読取装置」と呼ばれますが、もう「Nシステム」で十分に通用するようになりました。1980年代後半に開発され、87年に東京都で第一号が設置されたそうです。当初は速度違反を検知する「オービス」と混同されましたが、今ではほとんどのドライバーが、その違いを認識できるようになったと思われます。

 重大事件にかかわる車両や盗難車などの「手配車両」の捜索・追跡などの目的で利用されるもので、「Nシステム」を通過した車両はすべて記録され、手配車料のデータと照会されます。通過した車が「手配車両」だった場合、判明と同時に詳しいデータが警察無線などに流れることで巡回中のパトカーなどに知らされ、車両の追跡が開始されて検挙に至るというものです。

 犯罪の捜査や検挙のための「アイテム」としては「すぐれもの」であり、犯罪者にとっては「じぇじぇじぇ!!」でしょうが、警察にエールを送る一般市民からは「かっけぇ~!!」の声が掛かるのですよぉ。

 ただ、「Nシステム」では、通過する車両を無差別に撮影し、ナンバープレートを判別してデータを抽出しますが、同時に運転者や同乗者も撮影されます。ですから、「Nシステム」のデータにアクセスできる警察関係者であれば、犯罪とは無関係な一般市民のプライバシーを把握することも可能なのです。

 1999年ですからちょっと昔のお話ですが、新潟県警察の課長が部下の女性との不倫関係が発覚して辞職しましたが、その端緒となったのは「Nシステム」による自家用自動車の追尾でした。「署内不倫」は警察組織にとって不都合だったのでしょうが、犯罪でも何でもない個人のプライバシーを暴くために「Nシステム」を「悪用」した事実が明らかとなった「事件」でした。

 私たち一般市民は、犯罪を犯すつもりなど毛頭ありません。だから、犯罪者をターゲットとする数々の「監視システム」に対しては、安心こそすれ不安を抱いたりしないのが普通でしょう。しかし、これらの「監視システム」が間違った使い方をされたときには、善良な市民に対しても「牙を剥く」ことがあり得ることを忘れてはいけないのです。それでも「監視社会」を選ぶのかどうか…それは、国民・市民の選択にかかっています。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

|

« 「監視社会」への道(5) | トップページ | 日本語があぶない(1) »

弁護士のひとりごと」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/544676/57944234

この記事へのトラックバック一覧です: 「監視社会」への道(終):

« 「監視社会」への道(5) | トップページ | 日本語があぶない(1) »