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2013年8月 3日 (土)

「監視社会」への道(2)

 犯罪者を相手にする「刑事警察」には常に「適正手続」が要求されるのに対し、必ずしも犯罪ではない行動を監視し続ける「公安警察」には「適正手続」を期待することできない…なんて、大きな矛盾を感じてしまいますよね。しかし、それがまさに「現実の世界」なのです。

 「公安警察」は「警備警察」の中に位置づけられますが、その前身は戦前の「特高警察」です。戦前は、「無政府主義者」「社会主義者」「反戦主義者」などが「特高」のターゲットとされてきました。現代の「公安警察」が何処をターゲットにしているか…は、個人的に興味がありますが、「公安警察」の実態は闇に包まれており、私ども「普通の弁護士」にはほとんど縁がありません。

 ただ、時として「公安警察」が刑事事件に顔を出すことがあります。たとえば左翼系活動家の「別件逮捕」です。逮捕容疑は「微罪」であることが多く、逮捕・勾留の後に「不起訴」あるいは「処分保留」で釈放されることが多いようです。目的は「起訴すること」ではなく、逮捕に伴う「家宅捜索」だったり、一定期間の「身柄拘束」だったりするからです。

 私が「掛けだし」の弁護士の頃、神戸地裁で「公安警察」の暗躍による「ひと悶着」がありました。それは昭和天皇が兵庫県に行幸される時期と一致していたと思いますが、ある左翼系活動家が「私文書偽造・同行使」の容疑で逮捕されました。住んでいたアパートの賃貸借契約の名義を偽った…と言うのが直接の容疑でしたが、警察・検察の本当の目的は「10日間の勾留」にありました。

 つまり、陛下が兵庫県にお越しになる期間中、左翼系活動家の行動を規制する目的で「勾留」することを狙ったのですが、「予防拘禁」的な身柄拘束であることを見抜いた裁判官に「勾留請求却下」を食らい、検察官があわてて「準抗告」という不服申立手続をしたものの、これも退けられて活動家は身柄を釈放されました。

 これは、「公安警察」の数少ない失敗事例です。検察官の勾留請求をビシっと却下できるような「気骨のある裁判官」はむしろ少なく、隠された「意図」を見抜けないまま、安易な身柄拘束に加担させられてしまっている裁判官の如何に多いことでしょう。

 その意味では、「適正手続」をチェックする立場にある裁判官が、捜査機関に「舐められている」ということも出来るわけで、裁判官といえどもオールマイティではないのですよ(涙)。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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