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2012年11月 2日 (金)

本気で「脱原発」するなら

 兵庫県の井戸敏三知事が、政府のエネルギー政策を批判しています。今朝の神戸新聞によると、井戸知事は地方分権の必要性に触れる中で「今の社会の閉塞感は、日本の将来像を国が示さないから起きている。小泉純一郎内閣の時代から規制緩和など仕掛けを変えればいいという議論ばかりだった」と指摘。その上で「今の政府はエネルギーの基本計画も作れない。選挙のために『脱原発』ばかりを言っており、それで生活や産業がやっていけるか、という議論がない」と述べています(神戸新聞:平成24年11月2日朝刊より)。

 たしかに、本気で「脱原発」を実現するためには、原発に代わる安全でクリーンな発電システムを構築したうえで、その運用コストを安定させ、日本の産業や国民の生活をまもる必要性があります。原発を停めて石炭・石油・天然ガスなどの火力発電に戻れば良いというわけでもありません。
 
 エネルギー基本計画について何らのシミュレーションもしないまま、「脱原発」を掲げるだけの政治家は、ただの「ムード先行」あるいは「代替案なき誤導」と批判されてもやむを得ないでしょう。
 
 私は、本気で「脱原発」を実現するために、もうひとつ重要な課題があると思います。それは、脱原発を推進する過程で、さらに「原子力の専門家」を養成し続ける必要がある…という矛盾です。現実に「脱原発」を目指すとしても、最終的には何十年もかかります。その間、既存の原発を安全に運用しなくてはならず、廃炉・解体を進めるうえでも専門家の知見が必要です。

 これから「衰退への道」を辿るであろう「原子力産業」に、若くて優秀な人材を送り込み続けることができるか…という問題がここで生じます。「脱原発」の方針が決まってしまうと、原子力の世界には「夢」も「希望」もなくなり、そこに飛び込もうとする若者の意欲もそがれることでしょう。しかし、そうだとすると、それほど遠くない将来、既存の原発の安全運用が危惧され、逆に廃炉・解体もままならない…という由々しき事態に直面するときが来てしまうかも知れません。

 「前門の虎、後門の狼」みたいに進退窮まる事態にならないよう、今のうちから手だてを考えておく必要があると思います。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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