« 「夫婦」の定義? | トップページ | 「ヒゲの殿下」のご逝去に想う »

2012年6月 6日 (水)

内縁をめぐる法律問題

 最近、内縁の妻はいるものの、相続人がいない…というケースに出会いました。残念ながら戸籍上の婚姻届を欠く「内縁の夫婦」には、お互いに相続権がありません。このケースでは、家庭裁判所で「相続財産管理人」が選任され、相続財産の処理が行われることになりました。

 「内縁の夫婦」の場合、たとえ何十年連れ添っでも相続権は発生しませんが、年金の世界は話が違います。厚生年金も国民年金も「配偶者(夫・妻)」の定義について「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」としています。したがって、内縁の夫婦であっても「遺族年金」の受給対象になり得ます。

 同様に、「死亡退職金」も、内縁の配偶者が受け取れる場合が多いようです。たとえば、国家公務員の場合、死亡退職金は「遺族」に支給されます。この「遺族」の順位のトップは「配偶者」であり、「配偶者」の定義は「届出をしないが職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む」とされています。

 地方公務員の場合も、死亡退職金の受給権者は「条例」で規定されており、おおむね国家公務員に準じた形になっています。また、民間企業では、死亡退職金の受給者を「就業規則」などで定めていますが、やはり受給権者の第一順位を「配偶者」として「内縁の夫婦関係を含む」と規定しているのが一般的です(念のため、就業規則などをご確認されることをお勧めします)。

 このように、年金や死亡退職金の受給に関し内縁の夫婦にも認めよう…という考え方は、結局のところ、故人が生きておれば、給与や年金などで「扶養の恩恵」を享受したであろう相手方の保護を重視しようとするものです。

 さて、最初に触れた、内縁の妻のケースですが、他に相続人がいないことの確定後、最終的には家庭裁判所の審判により、「特別縁故者」として遺産の多くを内縁の妻が取得することになるのでは…と予測しています。

 しかし、このようなケースに出会うたび、「遺言さえ残されておれば…」と考えずにはおれません。日本人の「遺言嫌い」は、いったい何処から来ているのでしょうね(涙)。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

|

« 「夫婦」の定義? | トップページ | 「ヒゲの殿下」のご逝去に想う »

知って賢くなる!」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/544676/54889103

この記事へのトラックバック一覧です: 内縁をめぐる法律問題:

« 「夫婦」の定義? | トップページ | 「ヒゲの殿下」のご逝去に想う »