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2012年6月 2日 (土)

不倫の代償

 現代の感覚では信じられないところですが、江戸時代の前期、不倫は「不義密通」という大罪で、男女ともに「死罪」に処せられました。江戸時代の死刑は6種類あり、「死罪」は軽い方から2番目です。斬首されたうえ遺体は刀の試し斬りにされます。また、主人の妻との不義密通は「獄門」であり、重い方から3番目です。斬首及び試し斬りだけでなく、はねられた首が3日2晩の間「晒しもの」にされました。

 また、夫が妻の「不義密通」の現場を発見した場合、間男(まおとこ)と妻を殺しても罪に問われませんでした。「二つに重ねて四つに斬る」というパターンです。密通目的で家に忍び込んできた間男を殺害した場合も無罪です。いやはや、たいへんな時代ですね。

 しかし、江戸時代も後期になると事情が変わり、不義密通で死罪になることはなくなったようです。「首代」と称する内済金(示談金)を支払って解決するのが一般的になりました。世の中の風紀が乱れて「不義密通」が増え過ぎ、奉行所も「いちいち取り締まってられない!」ということになったのでしょうか(笑)。

 「首代」の相場は当初5両でしたが、その後7両2分にアップしました。「10両盗めば首がとぶ」ので、10両の「4分の3」にまけて7両2分(1両は4分)とした…という説や、大判1枚(10両)が相場とされたが、大判の純金が7両2分相当しかなかったから…という説などがあります。いずれも真偽のほどはわかりませんが、江戸落語でも上方落語でも「間男」と「7両2分」はよく登場します。

 さて、7両2分は現代の貨幣価値に直すと幾らになるのでしょうか。諸説ありますが、お米の値段を基準にすると1両=4万円相当になるようです。そうすると、間男の「首代」は現代では30万円相当です。ちなみに、現代の「不倫の代償」は幾ら位だと思いますか? 具体的な事件の内容如何で変わってくるのですが、私自身が経験した裁判例から考えると、ざっと100~200万円というあたりが相場のようです。

 「据へられて7両2分の膳を食ひ」という古川柳があります。「美人局(つつもたせ)」にあってしまったわけですね。「美人局」という言葉自体「死語」かも知れませんが、「俺の女に手を出しやがって。オトシマエつけろ!」という恐喝手法は、現代でも生き残っています。「据え膳」にはくれぐれもご用心!

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
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