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2012年6月14日 (木)

人気がない?「限定承認」

 遺産の資産価値や債務の総額などが不明確で、プラスの財産が残る可能性もあるため、相続放棄をためらうことがあります。そのような場合、「相続によって得た財産の限度で、相続債務を引き継ぐ」という「限定承認」の手続がふさわしい…と大学時代の授業では習いました。

 しかし、私自身が弁護士になって26年もの間に、「限定承認」の手続に関与したのは、たった1回だけです。そのときの家庭裁判所の反応も「え~? 本当にやるんですかぁ」という感じだったのを覚えています(笑)。

 まず、相続人が複数いる場合、その一部だけで限定承認の申述をすることはできません。限定承認の申述は共同相続人全員で行う必要があるからです。ただ、相続放棄をした人がいても、それは元から相続人でなかったと扱われますので、それ以外の共同相続人全員で申述手続を行えばよいことになります。

 限定承認の申述が受理されると、限定承認者自身が、「相続財産の清算手続」を進めていくことになります。相続人が複数いる場合は、相続人の中から1名の相続財産管理人が選任されますので、その管理人が責任をもって行うことになります。

 まずは「官報」への「公告」の掲載です。「官報」というのは国が発行する新聞のようなもので、ここに限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の「公告」を行います。限定承認者の場合は5日以内、相続財産管理人の場合は選任後10日以内…と、けっこう厳しいスケジュールです。

 判明している債権者に対しては、直接の通知が必要です。その後は、相続財産の換価(売却などにより金銭に換えること)を実施し、最終的には「プラス財産」の範囲内で債務を弁済(按分弁済)するなどして清算手続を終えます。

 こうしてみてくると、まるで「ミニ破産管財手続」のようなイメージですね。たいへん手間がかかりそうですし、到底、一般人の手には負えない感じがします。「限定承認」が不人気なのも、このあたりに理由がありそうです。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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