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2012年5月14日 (月)

広島ホテル火災事故に思う

 実は、ちょっと前まで、ラブホテルの社長をしていました。ある会社の株主間に紛争があって、裁判所から代表取締役代行を命じられた訳ですが、それで、私自身、実際にラブホテルの経営にタッチさせて戴き、色々と「業界事情」にも詳しくなってしまいました(笑)。

 

 広島のホテル火災事故のニュース映像を見たとき、ああ老舗のラブホだなぁ…と直感しました。残念ながら死者が出た…と聞いて、身につまされるとともに、身元確認が大変だろうなぁ…とも(宿泊者名簿を備えていても、記入してもらえることは、まず無かったので)。

 

 老舗のラブホは、元々は旅館業法上の旅館・ホテルとして営業を始めたのですが、昭和59年の風営法改正によって、風俗営業のカテゴリーに組み込まれました。以後は風俗営業が禁止される地域でも、すでにラブホ営業を開始していた場合には、いわゆる「既得権」としてラブホ営業の継続が許されました。

 

 とは言っても「一代限り」という制約があるため、昭和59年当時は駆け込みの「法人設立」がたくさんあったと聞きます。それでも、いったん風俗営業に組み込まれてしまうと、銀行融資の道が事実上閉ざされ、施設のリニューアルは困難になり、特に消防施設の充実は「なおざり」にされてきた…と思われます。いつの世も、消費者の安全は後回しになってしまうんですね(涙)。

 

 私たちにとっても、火事は最も恐れるべき事態でした。ですからウチのホテルでは、毎月のように「避難訓練」を重ねて来ました。お客様の安全が第一ですから、合鍵(マスターキー)で客室のカギをこじ開けてでも避難誘導をするという「強硬方針」を立て、それを従業員の皆さん方に徹底していました。訓練当日は、社長の私はもちろん副社長や専務取締役も従業員の先頭に立って「お客様!火事です!避難して下さい!」と大声で叫びながら部屋を回ります。

 

 いずれにせよ、消防署の設備点検は進んで受け、改善勧告などがあれば真摯に耳を傾け、可及的速やかに改善策を講じて行きました。しかし、このように「コンプライアンスの遵守」に一生懸命になる会社は、皮肉なことに経営が圧迫されるのがこの世の常のようです(涙)。結局、このラブホ経営会社は、傷口が浅いうちに…と、解散・清算の道を選んだのでした。経営者一族の「矜持」を感じた、私にとって忘れ難い案件の一つです。

 

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所

職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!

http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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