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2011年3月 4日 (金)

個人情報と捜査協力

 今日、私の依頼者から「警察が捜査のために必要な顧客情報を開示するよう要請してきましたが、どう対応すべきでしょうか?」との相談を受けました。

 まず、警察は、捜査のために公私の団体等に照会して必要な事項の報告を求めることができます(刑事訴訟法197条2項)。この照会を受けた場合、受けた側には一応、回答義務があると言われています。「一応」と言ったのは、回答を拒否した場合でも罰則などはなく、また強制力をもって回答を求めることができないからです。

 しかし、回答することに支障がない事項であれば、進んで捜査協力をするべきだと私は思っています。とは言え、むやみに顧客の情報を提供することは、企業や会社としての信用を考えると躊躇するのが当然です。また、個人情報保護法上は問題が生じないのか…といった疑問もあるでしょう。

 個人情報取扱事業者は、原則的に個人情報を第三者に提供できませんが、法令に基づく場合は例外的として許されます。警察の照会に回答する行為は法令に基づくものですので、個人情報保護法上の責任は免責されます。

 ただ、その場合でも、書面による照会を受けてから情報を提供するのが原則だと覚えておいて下さい。書面とは「捜査関係事項照会書」と呼ばれるものです。その書式は各都道府県警察本部において統一されており、報告を求めるのは所属長(警察署長など)名義であり、その名義の末尾に職印(所属長印)が必ず押印されています。

 なお、正式な「捜査関係事項照会書」か否か等に疑念を感じた場合は、あらためて電話確認などを行った方がよいと思われます。顧客情報を管理する企業や会社は、出来るだけ慎重な態度が要求されていると考えるべきでしょう。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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