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2011年3月 2日 (水)

特捜事件の取り調べ「可視化」

 笠間治雄検事総長は、この3月中旬以降に試行が開始される、特捜事件の取り調べの「可視化」(一部の録音・録画)について、「一部でも録音・録画されれば、不適切な取り調べは必ず根絶出来る」と主張しています。

 しかしながら、「一部の可視化」は、まったく無意味と言うべきでしょう。被疑者の取り調べには必ず「山や谷」があります。最初は頑強に否認していた被疑者が、取調べの過程で紆余曲折を経て「落ちる」(自白に追い込まれる)という場合が多々あるのですが、それが必ずしも「真犯人が悔悟・反省して自白した」とは限らないので問題は複雑なのです。

 冤罪事件の殆どでは、被疑者段階での「自白」が存在し、立派な「自白調書」すらも出来上がっています。最初は否認していたにもかかわらず、厳しい取調べの中で「おまえこそが真犯人だ」と取調官に決め付けられ、何を言っても聞いてもらえず、長期間にわたり身柄も拘束され、留置場の中ではろくに眠れず、家族とも会わせてもらえず、ついに心がポキンと折れてしまい、やってもいない犯罪の「自白」に追い込まれる…というのが、多くの冤罪に共通する構図なのです。

 従って、自白調書が存在するからと言って、それが全面的に信頼できるものではない…と言う認識を出発点にしなければいけません。紆余曲折を経て「自白」した段階に至ってはじめて「録音・録画」を開始しても何の意味もないのです。「自白」が信頼できるかどうか…を後から検証できるように、取調べのすべての過程を「録音・録画」をしておくことが、「可視化」の根本です。

 特に、特捜事件は「自白」に頼る部分が多く、供述調書はしばしば「検事の作文」と指摘されます。何故そのような供述調書が出来上がったのか、その過程を後からきちんとチェックするためには「全面可視化」が不可欠なのです。

 検事総長は、「取り調べが持つ真相解明の機能が低下している」と指摘のうえ、「新たな捜査手法が確立していない中では、全面可視化は容認できない」と述べていますが、それは結局のところ「自白偏重」の捜査手法からまったく脱却できていないことを、「自白」しているものに過ぎません。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

平成24年1月19日(木)朝8時頃、福岡市の天神一丁目バス停付近の西鉄バスの車内で、痴漢冤罪事件を目撃しました。
それにもかかわらず、警察は容疑者の男性を殴って無理やり連行しました。
もし、この男性が警察署で暴行を受けて有罪になったら、大変恐ろしいことです。この男性の取調べの様子が録音・録画されていたら公開してほしいです。

投稿: 一乗客 | 2012年2月25日 (土) 12時46分

最新コメントは、私が見た事件と同じ事件
でしょうか?
先月の1月19日の木曜日のことでした。
福岡市の博多バスターミナルを午前7時47分発の西鉄バスの
中だったと覚えています。実際には博多バスターミナルの発車
が遅れていましたが、8時近くになってから起きました。
福岡市の中村学園女子高校の生徒が、いきなり隣で寝ていた
若い男性乗客に「この男は見るからに気持ち悪い。」などと叫んで
痴漢の犯人にして運転手に突き出しました。男性は何も悪いこと
をしていないのに、警察官から殴られてつれていかれたのでした。
私が県警中央署に問い合わせると、「被害者は痴漢されたと
言うから無理やり犯人にするしかない。」などと言って、私のいう
ことを聞きませんでした。その警察官の
名前は宮崎といっていました。
これは、警察官の公権力による悪質な
人権侵害と思います。弁護士は解決に向けて取り組まないと
いけません。

投稿: 木下里美 | 2012年3月 8日 (木) 13時37分

1月19日に福岡市の西鉄バスの車内で起きた痴漢冤罪事件は、女子高校生、バス運転者、乗客、警察官、検事らによるでっちあげの事件だと思います。

私の知る中村学園女子高校の生徒によると、冤罪をでっちあげた生徒は2年生で、事件当日と翌日は学校を休んでいたそうです。

取調べを担当したという福岡区検察庁の吉田修一副検事が「事件のことなら被疑者が選任した平和の森法律事務所の平田弁護士に聞きなさい。電話番号も教えてやるぞ。」などと複数の人に言ったそうです。この吉田修一という検事も、違法な捜査で冤罪を作っておきながら、このようなことを言うとは非常に無責任です。

この冤罪事件については、福岡県弁護士会が組織をあげて解決しなければ市民の安全は守れないと思います。

投稿: 桑原妙子 | 2012年3月 9日 (金) 13時39分

福岡地方検察庁の検察官の吉田修一副検事は、1月19日の痴漢冤罪事件に限らず、いつも違法な捜査をしています。

吉田修一副検事は、取り調べ中に「おまえはハンセン病患者なんだから、痴漢をすると同じ病気の人間がみんな痴漢の犯人にされてしまうんだぞ!」などと人権を無視した脅迫まがいな発言をいつもしています。

吉田修一副検事は、そのようなずさんな取り調べをしてから、いつも「フーッ!」とため息をつく癖があります。やってもいない犯行を被疑者にいつも押しつけている証拠です。

福岡地検の3階にある307室に取り調べの録音・録画を設置すると、このような取り調べの様子は一目瞭然です。

吉田修一副検事が担当した冤罪事件の「弁護人選任届」には、確かに平田広志弁護士と記載されています。また、吉田修一が所持する「逮捕手続書」を見ると、明らかに警察の違法捜査や不当逮捕による冤罪の可能性が高いと考えられます。また、被疑者の供述調書には、「福岡県警中央警察署 宮崎創巡査部長」と記載されているので、ここに寄せられた情報は正確だと考えられます。

投稿: 平江努 | 2012年3月10日 (土) 12時22分

これらの1月19日の痴漢冤罪事件のコメ
ントについて、知っていることを申します。
そもそも被害申告をしたはずの女子高生が、
その後の警察の取調べで「事件のことは何も
話したくない。本当のことはわからない。ど
うされたかもまったく覚えていない。」など
と言って供述しなかったことから、立件は不
可能だったはずです。
逮捕された男性も「自分は熟睡していたので
知らない。」と最初から容疑を否認していた
ので誰もがおかしいとわかっていたはずで
す。
警察組織の堅苦しい体質が、冤罪を作って
市民を苦しめていることに疑いはありませ
ん。
弁護士たちが警察に強く立ち向かわないと、
世の中は何も変わらないということです。
警察は税金を使って人権を侵害する悪質な
組織だということを弁護士が強く認識する
べきです。

投稿: 工藤納一 | 2012年3月10日 (土) 12時38分

私も西鉄バスで痴漢冤罪を目撃してから、警察や検察に抗議しても
断られました。
今年1月19日の木曜日でしたので、同じバスかもしれません。
博多駅に隣接する博多バスターミナル
1階バス乗り場を朝7時47分に出発する西鉄バス早良営業所行きに
乗車しました。私は一番後ろの座席にいて、冤罪事件の犯人の女子
高校生は後ろから4番目の進行方向左側、無実の30歳くらいの黒い
ロングコートを着た男性がその右側にいました。男性は気分が悪そう
で、ときどき黄色いハンドを出して口を押さえていたのが後ろから見え
たので、はっきりと覚えています。
女子高校生がいきなり「このきもい野郎めが!」などと侮辱発言を繰り
返しながら男性を痴漢の犯人にしました。他のメガネをかけた60歳く
らいの男性乗客も、30歳くらいの男性を殴りました。
バスは遅れて警固へ向かいました。
男性が連行された福岡中央警察署へ問い合わせると、宮崎という
警察官から「被害者が痴漢されたって言うから立件するしかなかろう
もうう。」などと怒鳴って私の目撃情報は一蹴されました。
また、男性が送検されたと宮崎という警察官から聞いた福岡地検へ
問い合わせると、吉田修一という副検事から「おまえは容疑者の
味方をするなら、おまえも共犯者とみなされるぞ。容疑を認めない
人間は警察官から脅迫や暴行を受けて当然だろうが。抗議をして
きた連中にはみんなそう言っているが、おまえもまったく同じだ。」
などと言って違法な捜査を正当化していました。
いくら弁護士会が取調べの可視化を求めても、警察や検察が認めない
理由がよくわかりました。
私が実際に体験した警察や検察の対応を告発することによって、弁護
士さんたちが違法な捜査をする警察官や検事たちを糾弾しなければい
けません。

投稿: 塩崎絢子 | 2012年3月10日 (土) 14時28分

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