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2011年1月13日 (木)

匿名性の「明と暗」

 前回、「伊達直人運動」が匿名性に支えられた「善意の寄付」であり、日本人の「謙譲の美徳」にもかなっていると…いう趣旨のお話を致しました。匿名性は、「秘密裏に行動できる自由」を保障するわけですが、それが必ずしも良い方向で発揮されるとは限りません。

 たとえばネット上で匿名性が高い「2ちゃんねる」などの掲示板では、すぐに板が荒れてしまう傾向が強いようです。そもそも、どんな事柄でも、個人の意見は十人十色なわけで、様々な意見をやり取りする中で、より良い考えや解決方法などを模索するのが最良の策なのです。しかし、互いの意見や見解を批判し合ううちに、理性のタガが外れてしまい、言いたい放題の人格攻撃にまで発展してしまうことも珍しくありません。

 これは、日本人が「ディベート」が苦手で、意見や見解に対する批判を受けると、自分の人格まで否定されたと感じてしまうから…と、説明されることもあります。確かにそれは一つの真実だと思います。単なる意見の対立に過ぎなかったものが、友人間や同僚間の対立を引き起こすこともあり得るからです。

 さらに、これに匿名性が加わるから厄介です。たとえ日本国憲法で「表現の自由」が保障されているとは言え、実社会での顕名(自分の名を名乗って)の発言は、当然ながらそれなりの責任を伴います。いたずらに他人の名誉や信用を害するような発言は、いかに「表現の自由」の名のもとでも許されない局面が生じるわけです。

 ところが、ネット上での匿名の発言は、時として無責任な言いたい放題…ということになってしまいがちです。逆から言えば、匿名だと思っているからこそ、好き勝手に振る舞ってしまう…のかも知れません。

 ただしかし、ネット上の掲示板などは、真の意味での匿名性が保障されているわけではありません。明らかに名誉棄損、信用毀損、業務妨害などの「犯罪」が発生した場合に、警察が捜査を開始すれば、プロバイダーを通じてIPアドレスなどを突き止め、パソコンや「犯人」を特定することも、それほど難しいことではないからです。

 我が国は、世界に冠たる「自由な国」ではありますが、自由と責任はウラハラの関係にあります。匿名性にあぐらをかいた「暴言」「放言」は慎んだ方がよさそうです(笑)。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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