2012年5月26日 (土)

生活保護がアブナイ

 吉本の売れっ子芸人の実母が生活保護を受けていたことで、「不正受給」の問題がクローズアップされています。本件で生活保護の受給が始まった時点では、何ら問題はなかった(不正受給ではない)と私は思います。当時は無名芸人で、年収100万円未満だったと言いますから、さすがに「実母に仕送りせぇよ」とは言えません。その意味で、吉本が「不正受給ではない」と断言したのも、この受給スタート時点での事情を見据えてのことでしょう。

 しかし、その後、彼が幸いにして「売れっ子への道」を進み、母への「仕送り」が十分可能になった時点で、実母の生活保護にストップを掛けるべきだったと思います。彼のサイドから申し出ても良かったでしょうし、彼のテレビ等への出演が増えた段階で、役所サイドからチェックを入れるべきだったのかも知れません。

 そもそも、生活保護受給に向けての「スタート時点」では、かなり厳しい審査を受けますが、一旦、受給要件をクリアしてしまうと、役所側のチェックは甘くなりがちです。仮に、世帯内に一人でも稼働可能な家族があり、何らかの収入を得ている場合には、適正額との「差額」のみが生活保護の対象となるため、毎月シビアな査定作業が行われます。ところが、彼の実母のように単身で病身というパターンでは、毎月の収入チェックは自然とおろそかになりがちです。ましてや、扶養義務者の収入状況まで目を届かせるのは極めて困難…と言うのが実情でしょう。

 実は、親族間の扶養義務は、とても微妙なものを含んでいます。そもそも自分の実の父母に対する関係では、一般的に扶養義務が否定される理由はあり得ません。しかし、親子間に何らかの「確執」があって、日頃から互いに何の行き来もないような親子関係の場合にまで、扶養義務の履行を「強要」するわけには行きません。

 また、いったん「当然」になってしまった「給付」を、「もういらない」と言うためには、かなりの「勇気」が必要でしょう。芸能界での「浮沈」は誰にも予測できません。「よっしゃ、売れたぁ!」と思っても、「一発屋」ですぐに沈んでしまわないとも限らないからです。その意味で「もう大丈夫」と思える時期が何時か?…の判断は結構むずかしいと思うのですよね。

 彼は、自分が「売れた」時期に遡って、保護費の返還をしたいと言明しています。たとえるなら「梅雨入り」「梅雨明け」が何時だったか…すら、あとで判るようなご時世ですから、こういった形での「謝罪」や「修復」も、許されて良いのではないかと私は思います。

 逆に、本来、生活保護を受けるべき人々が申請をためらい、あるいは行政サイドが保護すべき人々を見捨てるような社会にはなって欲しくありません。そのためにも、はびこっている「不正受給」の糾弾は絶対に必要だと思いますが、本当に糾弾すべき「不正受給」は、実は私たちの目には見えていない…と思うのですけれど。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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生活保護がアブナイ

 吉本の売れっ子芸人の実母が生活保護を受けていたことで、「不正受給」の問題がクローズアップされています。本件で生活保護の受給が始まった時点では、何ら問題はなかった(不正受給ではない)と私は思います。当時は無名芸人で、年収100万円未満だったと言いますから、さすがに「実母に仕送りせぇよ」とは言えません。その意味で、吉本が「不正受給ではない」と断言したのも、この受給スタート時点での事情を見据えてのことでしょう。

 しかし、その後、彼が幸いにして「売れっ子への道」を進み、母への「仕送り」が十分可能になった時点で、実母の生活保護にストップを掛けるべきだったと思います。彼のサイドから申し出ても良かったでしょうし、彼のテレビ等への出演が増えた段階で、役所サイドからチェックを入れるべきだったのかも知れません。

 そもそも、生活保護受給に向けての「スタート時点」では、かなり厳しい審査を受けますが、一旦、受給要件をクリアしてしまうと、役所側のチェックは甘くなりがちです。仮に、世帯内に一人でも稼働可能な家族があり、何らかの収入を得ている場合には、適正額との「差額」のみが生活保護の対象となるため、毎月シビアな査定作業が行われます。ところが、彼の実母のように単身で病身というパターンでは、毎月の収入チェックは自然とおろそかになりがちです。ましてや、扶養義務者の収入状況まで目を届かせるのは極めて困難…と言うのが実情でしょう。

 実は、親族間の扶養義務は、とても微妙なものを含んでいます。そもそも自分の実の父母に対する関係では、一般的に扶養義務が否定される理由はあり得ません。しかし、親子間に何らかの「確執」があって、日頃から互いに何の行き来もないような親子関係の場合にまで、扶養義務の履行を「強要」するわけには行きません。

 また、いったん「当然」になってしまった「給付」を、「もういらない」と言うためには、かなりの「勇気」が必要でしょう。芸能界での「浮沈」は誰にも予測できません。「よっしゃ、売れたぁ!」と思っても、「一発屋」ですぐに沈んでしまわないとも限らないからです。その意味で「もう大丈夫」と思える時期が何時か?…の判断は結構むずかしいと思うのですよね。

 彼は、自分が「売れた」時期に遡って、保護費の返還をしたいと言明しています。たとえるなら「梅雨入り」「梅雨明け」が何時だったか…すら、あとで判るようなご時世ですから、こういった形での「謝罪」や「修復」も、許されて良いのではないかと私は思います。

 逆に、本来、生活保護を受けるべき人々が申請をためらい、あるいは行政サイドが保護すべき人々を見捨てるような社会にはなって欲しくありません。そのためにも、はびこっている「不正受給」の糾弾は絶対に必要だと思いますが、本当に糾弾すべき「不正受給」は、実は私たちの目には見えていない…と思うのですけれど。

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2012年5月25日 (金)

防犯カメラの威力

 東京メトロの「渋谷駅」構内で男性が刃物で刺された事件で、警視庁の捜査1課は平成24年5月23日、殺人未遂容疑で容疑者を逮捕しました。事件発生からたった2日というハイスピードでの容疑者逮捕には、本当に舌を巻きますね。

 被害者にとって「訳あり」の事件ではなく、まったく面識のない相手で、まさに突発的な「通り魔的事件」でしたから、正直なところ容疑者に辿り着くまでにはかなりの時日を要するかも…と、私自身は危ぶんでいました。それが、たった2日で逮捕…。

 警視庁は、防犯カメラの画像を公開して、逃走した容疑者の行方を追いました。容疑者が「副都心線」のホームから移動して「半蔵門線」に乗車し、「永田町駅」で「有楽町線」に乗り換えたことを確認しています。これだけでも驚きですが、さらに「渋谷駅」のトイレに立ち寄ったこと、最後に「東武東上線」の「朝霞台駅」で降りたことをも確認するなど、容疑者の「足取り」を完璧に押さえています。

 警視庁は、事件前後の容疑者が映った防犯カメラ画像を公開しましたが、すぐに一般市民から「似たようなバッグを持った男を知っている」という情報が寄せられ、あっという間に容疑者が絞り込まれて行ったようです。

 私たちが、防犯カメラの威力をまざまざと見せつけられたのは、昨年(2011年)1月に発生した東京目黒の夫婦殺傷事件でした。このときも警視庁は、東京メトロ日比谷線「中目黒駅」の防犯カメラに映った男の足取りをたどり、事件発生から1ヶ月で容疑者逮捕に漕ぎ着けたのでした。

 しかし、今回はたったの2日です。現場が都心に近く、防犯カメラがたくさん設置されていたことが幸いしたのかも知れません。それにしても、私たちは「監視される社会」に首までズボッと浸かってしまいましたね。「9.11」以降、「治安が良く安心して暮らせる社会」への希求が強まっていますし、私自身もその風潮を「良し」とししまっていることを実感します。

 ちょいと、そこのオトーサン。警察が本気になれば、あなたの日頃の「所業」なんて、ぜ~んぶ「丸ハダカ」にされちゃいますよぉ(笑)。くれぐれもご用心!

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2012年5月24日 (木)

「入れ墨」がアブナイ

 大阪市役所が「入れ墨」で揺れています。児童福祉施設の職員が子どもたちに「入れ墨」を見せて脅したという、とんでもない事件に端を発し、橋下徹大阪市長が全職員を対象としてアンケート調査を実施しました。そのうえで「入れ墨」が人目に触れる箇所にある職員については、市民と接触しない部署への配置転換を行ったようです。

 「入れ墨」は、江戸時代には民衆の風俗として広まっていたようですが、明治5年に制定された「違式註違条例(いしきかいいじょうれい)」(現在の軽犯罪法に相当する法令)によって禁止され、警察による取締りの対象となりました。戦後(昭和23年)、軽犯罪法が制定された際には「入れ墨」の禁止が盛り込まれなかったので、現在、「入れ墨」そのものを禁止する法律はありません。

 しかし、青少年の育成・保護の面から、少年に「入れ墨」を施す行為は禁じられています。暴力団対策法は、「指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない」(同法24条)としており、これに関する公安委員会の措置に反した場合は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

 ただ、暴対法は指定暴力団員に対する規制だけですし、しかも、罰則が軽すぎると私自身は感じます。たとえば、兵庫県の「青少年愛護条例」では、「何人も、青少年に対し、入れ墨を施してはならない」「何人も、青少年に対し、勧誘し、又は周旋して前項の行為を受けさせてはならない」と定めており、これに違反した場合は、「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。そうすると、少なくとも兵庫県では、暴対法なんぞを持ち出すまでもなく、青少年愛護条例で広く「入れ墨を施す行為」を禁止でき、また重く処罰することが可能です。

 ところで、「入れ墨」は人の皮膚に針等を使って「色素」を入れるものであり、身体に対する危険性が高い行為です。この点、厚生労働省は、「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」について、「医師免許を有しない者が業として行えば、医師法第17条に違反する」としています(平成13年11月8日医政医発第105号)。この場合の罰則は「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科(懲役と罰金の両方が科せられること)」です。

 このように「入れ墨」は、医師免許がないと施せないため、いわゆる「彫り師」と呼ばれる人々による施術は違法であり、実際の検挙例もあります(2010年7月、兵庫県警が彫り師を逮捕、ただし最終的には不起訴)。また、エステサロンなどで施術される「アートメイク」も基本的には「入れ墨」と一緒ですので、これも医師法17条に違反することになります。「アートメイク」が禁止されているわけではなく、美容整形外科などの医師による施術に限られるということですが。

 なお、神戸市の須磨海岸では、「入れ墨その他これに類する外観を有するものを公然と公衆の目に触れさせること」が禁止されています(須磨海岸を守り育てる条例:神戸市)。公衆浴場やプールなどでは入場を断られる場面も増えてきました。

 いずれにせよ、「入れ墨」はどんどん「居場所」がなくなっています。軽い気持ちで入れてしまうと、これをレーザー照射などで除去するためには、時間と費用が、入れたときの何倍もかかるそうですから注意が必要です。「入れ墨」をしている芸能人も散見されますが、けっして安易な憧れを抱かれませんように。ご用心!

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2012年5月23日 (水)

禁煙のはなし

 ザ・ニュースペーパーの福本ヒデさんが禁煙に挑戦中だそうです。安倍晋三・麻生太郎・鳩山由紀夫・野田佳彦など歴代総理大臣の「ヒトマネ」で人気上昇中のヒデさんですが、知る人ぞ知るヘビー・スモーカー。縁あって年2回の神戸公演の「打ち上げ」の際にはいつもご一緒させて戴いていますが、まあ、吸う吸う…。ヘビーというよりチェーン・スモーカーなんですよね(笑)。

 私自身も禁煙して20年になりますが、かつては一日に2~3箱も吸う「超ニコチン中毒」であり、何度も禁煙しては挫折…の繰り返しでしたから、そのツラかった経験を踏まえてヒデさんにエールを送りたいと思います。

 禁煙が何故ツライかと言うと、ニコチンやタールは「さびしがり屋」だからなんですね。体内のニコチン濃度が低くなると、「仲間を呼ぼう」としてスモーカーの脳にわんさかと指令を送ってきます。それで、猛烈にタバコが欲しくなるんですね。

 ですから、禁煙して3日間くらいは、もう「吸っちゃいけない!」「でも吸いたい!」という「心と体の闘い」です。俗にいう「禁断症状」ってやつですかね。でもこの期間を通り越して5日目くらいを過ぎると、意外なほど楽になってきます。ニコチンやタールがかなり体外に排出されて、「仲間を呼ぼう」とする集団の力が弱まってくるからなんでしょう。

 最近は、ニコチン・パッチという貼り薬やニコチン・ガムがあります。適宜ニコチンの摂取量を調節しながら「タバコを吸う」習慣から離れてゆくことで、無理なく禁煙を進めようという方法です。私たちの時代は、こんなイイもの無かったなぁ(涙)。

 さて、最もツライ時期を乗り越えたら、もう安心? イエイエ、敵は周りにウヨウヨいます。まずは喫煙組からの波状攻撃。「タバコやめたって? 意思が弱いね~!」「禁煙5日目? えらいね~、この辺で一服したら?」「吸いたいだろう、ホレホレ」などと、タバコを突き付けてきてはこちらの決心を打ち砕こうとします。そうでなくとも、タバコなんて街中あちこちで手に入りますから、毎日が「誘惑」との闘いです。

 次に、「脳」に刻み込まれた「記憶」との闘いが始まります。ヒトの脳というのは快感に関する記憶が強く残るようで、美味しかったタバコの記憶が突如として鮮明によみがえります。これは、ある種の「フラッシュバック現象」と言い得るかも知れません。10年以上も禁煙していたのに、ある日突然吸い始めた人もいますから…。

 昨日、覚せい剤取締法違反事件の公判で、被告人に「口先で『やめる』と言うのは簡単でしょう」と質問したら、「やめ続けるのが難しい。死ぬまでやめ続けて初めて『やめた』と言える」という答えが返ってきて、一瞬、言葉を失いかけました。タバコをやめようとしてやめられない苦悩のず~っと延長線上には、薬物中毒者の地獄がある…という認識を新たにしました。

 さて、「超ニコチン中毒」からは無事に卒業した私ですが、現在は「アルコール中毒」に罹患しつつあります。「百薬の長」も度が過ぎれば「命を削るカンナ」になるとか…。ご用心!

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